11. 10. 03

鶏肉と散策した黄昏 あるいは 落胆

私の 記憶力の悪さは
何も 加齢と共に始まったワケではない
小学生の頃から 異常に悪かったのである


なので 今更
記憶力が悪いことによって生じる あらゆる困難に
さほど 動じない度胸も 培われている


いや それは 諦観というべきものか


今年のバレンタインデーの日に
すなわち 2月14日に 我が家族となった
愛車モサド君が 初めての車検を迎えることになった!


初めて ということで
赤飯でも 炊いてやろうか 
なんて思ったが やめとこう


そんなワケで 越谷にあるホンダのディーラーに行き
モサドを 宜しく と預けて
代車を拝借することに あいなった


これが また なんとも…
卵のようなカタチの ハイブリッドカー というもので
車種は… 忘れたのでなく 聞いてないので 分からん…


普段の 軽のバンの視線より
ぐっと低い視界は なんだか恐怖な世界で
ボンネットも どれだけ前に飛び出てるのか分からず…


交差点や 駐車場で
いちいち 大回りしながら
とある 大型ショッピングモールに立ち寄った


ここは 頻繁に利用する
ということは 駐車する場所も あちこち経験があり
ということで 事件が起こってしまったのである…


夕餉の買い物を終え
駐車場に向かったのだが
はて… どこに止めたっけ…


それでも いつもなら 短時間で探し出すのだが
今日に限っては 借りたてホヤホヤの乗用車である
色も覚えてないくらいだから ナンバーなんて分かるわけない…


やばい…
車が 分からない…
右手にさげた袋の中で 鶏肉が傷んでしまう…


私の記憶力の悪さを 補ってきたのは
豊かな想像力と そして 閃きである!
覚えてない記憶は 想像力で塗り替えてしまうほどである!


てな感じで 閃いた!
そうだ リモコンキーを押せば
どこかで 車がハザードを ピカピカしてくれるはず!


嗚呼 なんて賢いんだ おれ!


そんなワケで 止めたとも思えない場所でも
念のため 大駐車場の端っこから
左手に鶏肉 右手にリモコンキーを ピコピコ ピコピコ


助手席には サングラスを置いておいたハズである
ピコピコ押しながら 念のため 1台1台 車の中を覗き込む
広大な駐車場である そんな探索活動が20分も続いたのだが…


無いのである!
いや 分からないのである!
どの車も 反応してくれないのである…


紫のワイシャツを着て 
弥勒菩薩のような ハンパなモヒカンの中年が
一台一台 車を覗き込みながら 歩く姿は…


やばい 通報されるかも…


治りかけていた 捻挫の右足も 痛み出してきて
同じ警備員と 何度か視線が 重なったので
仕方なく ディーラーに電話して 車のナンバーを聞いた


はて


私は その車のナンバーを
何故か 近い記憶層に 刻みこまれている気がして
一生懸命 というか すぐに思い出した!


買物をしてる間に 黄色いウグイスの声で
「お客様に お知らせ致します…」 と始まるアナウンスの中で
ハザードが点いてますよ! と 何度か繰り返されていたのである!


オーマイガー!


あとは 実に簡単だった!
ハザードが点きっぱなしの車は
1台だけあったのを 探索活動中に発見していたのだ!


そんなワケで 鶏肉は無事に生のまま 積み込まれ
私は エンジンをかけるべく キーを入れようとしたら…
なんと キーホルダーに ナンバーが書かれていた…


私の記憶力の悪さと 同じくらいの欠陥は 注意力の欠如である
それを 補う程の想像力と閃きへの傲慢が それに拍車をかけていた…
そんなワケで ミョウガは しばらく食べるまいと決意した黄昏だった…

 

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11. 09. 27

小人たちの脱出

Img_3718


楽器には 
いろんな思いが こめられており
いろんなモノが 潜んでいます

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11. 04. 14

Ξ:-Ъ   もう少しの土曜日

∫:ゝ    やあ ハニー 隣 座ってもいいかい?


:*(     あなた 誰?


÷)     難波敏郎 よろしく! 君は?


¦〈     素人の軟派? 他 あたってくれる?


;~∫    ナンパじゃなくて ナンバ!


:⊃     あら ごめんなさい


∥:з〕    何か 飲むかい?   


(:∞]    それじゃ ギムレットを デキャンタで!


Xo      デ デキャンタっすか?


:-Ъ    冗談よ! マスター ドンペリお願い!


:⊛ㅑ    そうそう ドンペリ グラスでふたつ!


:ㅁ(    あたし セコイ男 嫌いだわ!


Σ:・l    あ マスター ドンペリ開けちゃったよ・・・ しかも ロゼ・・・


;-Q    あーあ 退屈で眠くなってきたわ! お先に失礼!


ㅑ~(    これって 瓶はドンペリだけど 中身はシャンメリーじゃん・・・

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11. 03. 17

春を連れてきた少年

さすがは 駐屯地のある街である
朝から ヘリコプターが行き交う 行き交う
何も出来ない路傍の凡人と違い 援助へ活躍してくれている


昼が近づく頃になると
ヘリのラッシュアワーも終わる
のどかな いつもの ささやかな喧噪が戻った


すると どこからともなく
ホー ホケキョ
お! うぐいすだ! 春だ 春!


しかし 耳をすませていると
なんだか おかしい
初鳴きにしては マニュアル通りな美し過ぎるフレーズ


なんといっても インテンポ
同じ間隔で ホーホケキョ キョロキョロキョロ・・・
台所の窓を開けて 音源探索が始まった


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


およその位置がつかめたので
紫のシューズを つっかけて 出かけてみた
近づくにつれ 大きな声で ホーホケキョ


それは セイムスの前にある
自動販売機から 流れていた
なーんだ 


みれば お金を投入したままになっていて
ジュースのボタンを 押さないかぎり
ホーホケキョ キョロキョロキョロが 鳴き続ける


なんだか がっくりした気分と
ちょっと 騙された 腹立たしさが
マティーニのレシピの比率で 湧き上がった


なので 返却レバーを 下げようとすると
自動販売機の横から 少年が顔を出した
「おじさん だめだよ 春にしてるんだから」


どうやら この少年が 
春をプレゼントしようとしてくれているようだった
私は 返却レバーを下げ ウグイスに別れを告げた


少年の眼の高さまで かがみこんで言った
『君が 春を連れてきてくれたんだ』
「うん」


『ほら 耳をすませてごらん
君のうぐいすのおかげで
他の小鳥たちも 歌い始めたよ』


ヘリの音が止んだ 閑静なパレットには
様々な小鳥の声が あちこちにカラフルに
少年は 青い空を眺めて 初めて笑った


『春は 必ず来るからね
冬が厳しければ 厳しいほど
春は やさしくなれるんだよ』


「うん」


『ニッポンの春は みんなでひとつになって作るんだ
必ず 春はやってくるからね
君が一番最初に 春を作ってくれたしね』


「うん」


少年と同じ 青い空を見上げた
先週と同じ 青い空を見上げた
どこにいても同じ 青い空を見上げた


しばらくして 私は 左手で 少年の頭をなでた
右手を強く握りしめ ゆっくりと立ち上がった
少年達の為にも 大人がしっかりとしないと


キビスを返して 家に帰ろうとすると
少年の声が 私の背中に 響いてきた
「おじさん ジュース代返して それ僕のだから」


っち もう少しだったのになぁ
そして 私は 猛然とダッシュした
紫のシューズを ちゃんと履いてなかったことを 後悔しながら

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10. 06. 24

レギンス≒スパッツ≒ゲートル≒股引

甚だしい誤解を招く危険を有している為
あらかじめ おことわり しておく必要が甚大だと思われる故
あえて 声を大にして 述べておこう


私は 同性好色家でも 女装趣味者でもない


Photo


数年来 私の上半身は ピチピチのシャツに覆われている
これは 野球のアンダーシャツなのだが
見る人からは 100% 不快な反応のみをいただいている


フットサルで このシャツを着ていた為
ゲイと確信され 陰でついたあだ名が さぶちゃん であり
そのまま サッカー部でも サブさんと呼ばれている・・・


しかし このピチピチシャツ
夏も冬も 見た目では想像できないほど 快適なのである
汗を吸収蒸発させ すこぶる涼しく 
冬は皮膚が1枚増えた如く 暖かいのである 


昨年の10月から このシャツの色が 紫になった
12枚購入し それぞれ 番号を書いてあり
毎日毎日 順番に着ているのである


と ここまでが 前置きである


ピチピチ圧迫ポリエステルが 大好きな私にとって
長年の懸案は 下半身だった
上半身のような素材で 下半身も覆ってしまえば
もっと 快適ではなかろうか・・・


しかし スポーツショップにある この手のパンツは
かるく5000円以上し
恵まれないアジアの調律屋としては 手が出ないのである


されど 簡単には諦めないスッポン気質である
1000円以下で 同じ効力のある ピチピチは・・・
そこで 思いついたのが レギンス すなわち スパッツである


もちろん 女性用である


告白するが 実は 私は ジーパンも すべて女性ものである
理由は簡単
男性のベルボトムのラインは カッチョ良くないからである


かように 女性ものを購入する時には
小心者な私 一人では叶わないのだが
とても 心強い見方が存在する
そう 後輩ウララ である


電話で ウララを呼び出し 買い物に行かないかと 誘い出す
重要なのは まず最初に 餌 じゃなかった
高級ゴハンを たんまりと御馳走することである 
これだけで 機嫌はスコブル良くなる


今回は 500円もする 天麩羅そばだった・・・


しかし 紫ピチピチに 女性ジーパンに 紫のシューズを履いた
偉大な先輩とは 3メートルの距離を置いて歩きやがる
「知り合いと思われたくないので」


なので 今回は 黒のノースリーブを着てあげた
これで いたって普通のサラリーマンに化けたつもりだ
効果はテキメン 距離は2メートルに縮まった


「ところで 何を買いたいんですか?」
『うん 実は スパッツを履こうと思うのだが』
「帰ります」


瞬間で 断りやがる時には
スイーツか フランクフルトソーセージである
これで 交渉の席に座ってくれるのだから 
キム・ジョンイルよりはちょろい


スーツを着ると ズボンが汗で張り付くから
長ズボンの下着があれば
もっと 快適に調律が出来るハズなんだと


快適に調律が出来れば
これ 即ち 音楽への多大なる貢献 間違いなし などと
強引な理論で ネジふせる


そして 女性下着売り場へ・・・


ここまで書いて 大いに悔いているのだが
ここからが 面白いのに 連載にしなかった・・・
あまりに長文になるので そのイキサツは またイズレ


そんなワケで ソバとスイーツで 800円の散財をして
500円のレギンスを 4本買ってきた
早速 パジャマ代わりに ピチピチ上下で寝てみたら・・・


トレビアーーーン!


見る夢だって違ったさ!
紫のターザンになりきって ジャングルで大活躍してると
声の低い 左ききの 美しいジェーンが現れて・・・アーアアー


感謝と 快適だった感想を 後輩に話すと
「でも もし 寝てる時に 災害とか起きて その格好で避難所に行ったら
 きっと 助けてもらえませんよ」


そんなワケで 完璧な モジモジ君になって
この夏を 快適に乗りきれると思うと
ああ 猛暑よ来い!と 張り切っているのであった


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10. 02. 23

痛すぎたトッピング

訳あって 最近 電車で仕事に行っている
私鉄から JRへ乗り変える時に
空腹を感じ だから 駅前の中華屋へ入った


しまった


私は 外食注文率ナンバー1のメニューが 坦々麺であり
中華屋なら どこでも あるものだと信じて 40年以上生きてきたが
初めて その信仰を裏切る店に遭遇したことを 悔やんだ


しかし カウンターに座ったのに
何も注文せずに 店を出る勇気など
私のDNAに存在しない


そうだ 携帯がかかってきた振りをして 店を出るか!
我ながら 自分の頭の良さに陶酔しかけた時
店員さんが おしぼりと お冷を テーブルに持ってきてしまった


「何に なさいますか?」


私は 低い声の女性に めっぽう弱い
天秤に乗せれば 間違いなく
坦々麺より 低い声の妙齢な女性に傾くほどである


『あ じゃあ 特製ラーメンをひとつ』
「はい かしこまりました」


私は 気に入った女性の前では
すぐにカッコをつけたがり
一番高いラーメンを とっさに注文してしまった


ああ いい店にめぐり会って 幸せだ


つい先ほどの 坦々麺真理教の慟哭なぞ すぐに消え去って
おしぼりで 顔を拭けば ますます幸福感に満たされ
他の人の注文を聞く 店員の美低声に 耳を傾けていた


ふと 見上げれば そこにはテレビが据え付けられており
画面には 真っ白なオリンピックの映像が!
あ そっか トリノでオリンピックやってるんだったっけ


私は スポーツ好きなのに
オリンピックには さらさら 惹かれない
トリノじゃなくて バンクーバーだというのも 初めて知ったくらいだ


だいたい 冬季オリンピックは
不思議な名称の競技が 多すぎる
バイアスロン? スケルトン? ハーフパイプ?
パイプカットなら 知っているのだが・・・


しかし 一目瞭然とは まさに このことである


その ハーフパイプとやらの競技は
およそ スポーツ選手とは ほど遠い服装をした 
あえて言えば 駅前のスケートボーダーのような服装の競技だった


しかし これが 凄い 空中ジャンプをしてクルクル


ホゲーとして だらしなく口を開けたまま 熟視していると
「お待たせいたしました 特製です」 と
なんだか 具がたくさん盛り付けられた ラーメンが来た


目だけ テレビに釘つけになったまま
レンゲで スープをゴクリ・・・
あ 醤油味だったのか・・・


仕方なく 私は コショウを入れることにした
なんてたって 辛くなければ 料理じゃない という人間である
パスタでは カルボナーラが真っ赤になるくらい
タバスコを入れる人間である


しかし ハーフパイプとは
凄い競技だ! 
いったい どうやって 練習しているのだろうか


そんなコトを思いながら テレビを注視し
コショウを ラーメンに振り続けた


そろそろ コショウが表面張力を起こしてくれた頃だろうと
割り箸をくわえて パチンと割り
テレビから ラーメンへと 視線を移動させた


ああ


どうやら 私のラーメンは
本当に スペシャルな特製のラーメンになっていた


ああ


コショウと思って 振っていた小瓶は
どうやら 爪楊枝の小瓶だったらしい


やはり これからは
コショウなぞ必要の無い
坦々麺にするべきだと 棄教した己を悔いたものである

 

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10. 02. 21

髪型を変えた訳

後輩の平賀君は 
時々 珍妙な発明品を
私に 見せに来る


「先輩 今度のは傑作です」
『ふうん 本当かね』
「本当ですとも! 今度の作品は 先輩も気に入るはずです!」


どうも 彼の言葉は信用できない
今までだって 「特許間違いなし!」 とか ハリキリながら
私に見せてくれた その作品のほとんどは・・・


例えば


洗濯すれば 何度も使える トイレットペーパー とか
歯茎も鍛えられる 金属製の歯ブラシ とか
燃費がよくなる アクセルストッパー とか


この中で 私が試したのは
アクセルストッパー だけだったが
なんてことはない


アクセルが 踏み込めなくなって
ただ スピードが出なくなるだけ というシロモノで
おかげで 仕事に遅刻した 苦い経験がある
今のトヨタになら 売れるかも知れないが・・・


『で 今回の珍品は何だい?』
「はい ETCメッセンジャーです」


彼は 説明が長いので 簡単に言うと こんなものである
ETC搭載車に向かって 機械のアンテナを向け
任意のボタンを押すと ETCの機械が喋る というものである


疑わしかったので 我々は 
私のメルセデス・テポドンに乗り込み
早速 実験を開始した


「いいですか この1番のボタンを押しますよ」


すると さっきまで "カードを入れて下さい” と 喋っていた機械から
“ウインカーが点きっぱなしだよ!” という声が流れてきたではないか!


『おお! これは凄い! 凄いじゃないか平賀君!』
「でしょ? 他にもあるんですよ!」
そう言いながら 彼は 幾つかのボタンを押してくれた


“運転中は 携帯電話をかけてはいけません”
“てめー どこ見て運転してんだ ばっきゃろー”  
“おい 寝てんのか? おい 起きろ!”


我々は 深夜の駐車場の 車の中で爆笑し 
早速 他のセリフを インプットするべく部屋に戻り
パソコンから 様々な言葉を ダウンロードした


そして 寝静まった街へ繰り出した
彼に運転を任せ 私は ミラーシートを貼った後部座席から
信号待ちする車に メッセージを送る という作戦である


最初に 横に並んだのは くたびれたタクシー運転手である
⑦ “深夜まで 運転 お疲れ様であります!”
すると タクシー運転手は 飛び上がらんばかりに驚いて キョロキョロ


⑨ “酔っ払いの客って 本当にイヤですよね”
すると 今度は 後部座席に座っていた 乗客が
運転手に向かって なんだか 絡み始めた


信号が青になったから 
我々は 涼しい顔をして
その場を去ってしまった


「どうですか! 先輩!」
『エクセレント! うん 実にいい! 次はナンパヴァージョンを試そう!』
「アイアイサー」


数分後 交差点で 白いBMWの横に止まり
見てみれば 左ハンドルを握っているのは
ワンレグ ボディコンの すこぶる美人ではないか!


作戦開始


① “ああ こんな美人に会えるなんて 長生きして良かった”
すると 美人は ビクリとして 何やら 独り言を喋っている
② “驚かせてすいません たった今から あなたのファンになった者です”
美人は しかし 動揺より 困惑な表情で 何やら 早口で独り言


私は 何を喋ってるのか 聞きたくて
思わず 窓を開け 耳をすませて ボタンを押しまくった


④ “よかったら 一緒に 電子レンジを買いに行きませんか?”
もう じれったくなったから 最後の手段に出た
⑤ “あなたの隣の車に乗ってる者です! 窓を開けて下さい!”


すると ワンレグボディコン嬢は 
右を見て そして 左を見て
私と 目が合った


私は とびきりの悩殺スマイルで 『やあ』 と手を上げた
『脅かして ごめんね! よかったら お茶でもしませんか?』
しかし 美人は 沈黙したままである


次の瞬間 BMWの 後部座席のスモークなウインドゥが下がって
今時! と思うほど アンティークな リーゼントの兄ちゃんが・・・
「おぅ てめー 何かようか? あ?」


『平賀 出せ! 飛ばせ!』
「しかし先輩 まだ赤ですよ」
『かまわん! 罰金より 命の方が大切だ! いいから飛ばせ!』


猛烈ダッシュした テポドンから
私は 追走してくる 白いBMWに向かって ボタンを押した
⑫ “すみません すみません”


しかし BMWは パッシングとクラクションで
更に 激しく 煽ってくるではないか!
すると 平賀君が 運転席から わめきだした


「先輩! 10番以上の番号を押したらダメですよ!」
『なんでだ! 12番は “すみません”だったろ?』
「いや インプットしたのは 10番までです! 10番以上は僕の設定のままです!」


ワケが分からなかったので
私は 自分の車に向かって ⑫を押してみた
“やい! くされげどーが! とっととくたばれ!”


我々は 8回の信号無視と
スピード違反をしながら
命からがら 逃げ切った


それ以来 私は 髪型を大きく変え
電車で仕事に行くことにしている
もちろん 駐車場の愛車には すっぽりとカバーをかぶせるのを忘れない


  

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09. 11. 27

接吻危機

先日 大量の書類を作成した
なんてことない
溜まっていた 請求書を エイヤ!と書いただけなのだが


で それぞれの書類を
宛名を書いた封筒に入れ
封をしようと スティックのりを着けていた


アレレ?


ノリに賞味期限ならぬ
使用可能期限なんて 
あったっけ?


ちっとも くっつかないじゃん


私は こういう時
頭を使わずに 力だけで解決しようとするタイプの人間である
だから 必死に封筒の封を 全力で 押さえつけた


やや 着いた


が しかし しばらくすると
ペローンと 剥がれてくる・・・
ウヌ! コヤツ! 封筒の分際で オレサマを愚弄しやがって! ケシカラン!


湿度が無いのかと思って
ノリを塗った部分を
もう一度 ペロリと舐めようかと思った その瞬間!


匂った!


メンソーレ!
じゃなかった
メンソール!


どうやら スティックのり と思っていたものは
ただの リップスティックだった・・・


ハッ!


私は 慌てて ダウンジャケットのポケットをまさぐった
あった!
スティックのり・・・


あやうく 私は
出先で 唇が乾燥したら
スティックのりを 塗りつけるところだった・・・


そのまま 接吻なぞ しようものなら・・・

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09. 11. 12

2声の魚屋

我が町の ゴミ収集車は 
「カワイイ カワイイ サカナヤサン」のメロディーを
高らかに響かせて やってくる


だから サカナヤさんの歌が聞こえてきて
慌てて ゴミを捨てに行っても
十分間に合う という ありがたいものでもある


しかし なぜ 可愛い魚屋さんなのだろうか


ま 盲人用信号が 青になって
「とおりゃんせ」 を 流されるよりマシか
あのメロディを背負いながら 横断歩道を渡ると
なんだか 車に轢かれそうな気持ちになるものだ



資源ゴミの日
ビン カン ペット その他と
ゴミ収集車は それぞれ 専用の車が来る


普段 それぞれの収集車は 大きくタイムラグがある
(ラグタイムではないぞ)
なので 午前中 4回くらい 可愛い魚屋さん が聴ける


しかし 今朝 2台の収集車が ほぼ同時にやってきた
なかなか珍しいことだ


別に 窓から ゴミ収集車を待ちわびて 眺めているワケではない
2台 ほぼ同時というのは 可愛い魚屋さんが カノンになっていたのだ
ほぼ きれいに1小節ズレて カワイイ カワイイ サカナヤサン が かぶっている


ゴミを 積み込んでいる時は しばらく停車しているので
2声の サカナヤのカノンは 素晴らしい音量 素晴らしい和声
ジョン・ケージだって ロダンの彫刻よろしく 考え込んでしまうことだろう


せっかくの 新しい朝が 台無しである・・・




さ 試しに 1小節 ズラして 聴いてみてくれ

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09. 10. 17

加藤太郎は・・・

先日 このブログを読んでいる 知人から
「やろーに人って 何ですか?」 というメールをいただいた
調べてみると 確かに 「ヤロー二人」という記述がある


これは 「野郎ふたり」 と 書いたつもりだった


この手の 勘違いは ままある
いつだったか 友人が 「人工口伝」という記述を
とんでもない読み方をしていた・・・ (全て漢字である)


日本人でも この始末であるからして
外国人から見たら 本当に日本語は
難しいものだと思う


それだけでも 日本人に生まれて
本当に良かったと
両親への感謝が ふつふつと沸いてくる


以前にも書いたので 重複するが


1本 2本 3本 を
「ナゼ イッポン ニホン サンボン ト ヨムノデスカ?」と 外人に問われても 
私なんぞは 『そこに山があるからです』 としか答えられない


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 を
「ナゼ アガルトキニハ 4ハ “シィ” 7ハ “シチ” ト ヨムノニ
 サガルトキニハ 4ハ “ヨン” 7ハ “ナナ” ト ヨムノデスカ」 と 外人に問われても
やはり 『そこに山があるからです』 としか答えられない


だいたい ひらがな カタカナ 漢字 という 
三種類の文字が 混在しているというのは
外人から見ると どう 映るのだろうか


例えるなら ハングルの中に 
ヘブライ文字と インド文字が混在しているようなもの
まず どれがハングルで どれが なんの文字か理解しなければいけない


そう考えると
日ごろ 馬鹿にしている デーブ・スペクターすら
素晴らしい頭脳の持ち主に見えてきてしまう・・・


韓国語でも 10時10分のことは 「ヨルシ シップン」 と発音し
何時は ひとつ ふたつ みっつ という固有語で
何分は イチ ニィ サン という漢字語なので 時々 頭から煙が出る


そういや ある美女は もの凄い悪筆で
ソとン シとツ 全く 区別がつかなかった・・・
日本人だって 日本語は 難しいのだ


力卜一夕口一八 工口二一卜 ヶヶヶ


果たして 外人は 上の漢字を どう読むのだろうか・・・


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