12. 03. 11

低き場所へ昇れ

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もしも 僕を愛してくれる人がいたとして
もしも 僕が死んだとして
もしも 僕が黄泉から此世を見れるとして


僕は 涙なんか流してほしくない
それより 思いっきり笑って 元気でいてほしい
そのほうが 僕も笑っていられると思うんだ


哀しみは そのままにしておくと
氷のように とんがって するどくなって
もっと もっと 心を傷つけてゆくもの


だから まだ温かいうちに
涙にして 流してしまったほうが 
よいのだけれど


だから涙は 自分のために流しているんだ


そばで 泣いてる人には 一緒に泣いてあげよう
その涙だけは その人のためになるのだから
でも 遠い誰かの人の為には どんな涙も届かない


それより 元気を出してあげよう
自分のために 涙を流すくらいなら
誰かのために 汗を流してみよう


重力に支配されている この星の僕らは
だから 尊いものを昇華させ 天空へ祈りを捧げる
もう一度 大地に足をつけて 元気を出してみよう


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11. 07. 01

夏はモジモジ 月の頃はさらなり

あたたかい日が 続いておりますが
お元気に お過ごしでせうか?
私は いたって 健やかに過ごしております!


さて このブログでは 何度となく 申上げておるのですが
なかなか どうして 理解を得られないようなので
あえて 皆様の為に 再度 取り上げようと決意致しました!


と申しますのも
この夏は 節電の夏!
今こそ この対策が必要かと存じておる次第であります!


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昨日 友人と話してる際に 気づいたのですが
多くの方々の 信用を得られないのは
どうやら 私の文体に問題があったようです


私は 真夏でも 冷房も扇風機もつけない


自慢話が好きな ナルシストが
かように書こうものなら
論点の重心は おのずと ズレてしまうのでありました


しかし 本当に 私が伝えたかったことは
皆様に 快適な夏を 過ごしていただきたい
という この一点に絞られるのであります


いかようにして 冷房無しで 酷暑を乗り切れるのか


野球用のアンダーシャツを着て
スポーツ用のレギンスを履いて
ただ ただ それだけのことなのです


かかる費用は シャツが3000円くらい
レギンスは 1000円くらい
たったの これだけなのであります


真夏に長袖?
かえって 暑くなるんじゃない?
そう思われるのも 当然のことであります


多くの方々の 長袖のイメージは 寒さ対策にあります
綿の素材で 肌との間に空間があれば
ベタベタと汗をかいて 誰でも 不快であり 逆効果であります


しかし 野球のアンダーシャツ(以下 モジモジ君)は
肌に密着する ポリエステル素材
ささやかな汗すら吸収し 発散させるのです


その時 放射冷却現象が起きるのです


綿の素材や 肌と服の間に空間があると
この現象が起こらないので 
多くの方は 体験したことが無いことでしょう


モジモジ君を着ていると
例えるなら 行水しながら 水冷で
体温を下げてくれるのです


人類は 太古から 冷房なぞ無い中を
生き抜いてきた 本来の能力を備えています
発汗という作用により 体温を維持できるのです


その作用を より 効果的にしてくれるのが
この モジモジ君なのです


エネルギーを乱用するのでなく
地球上の生き物として 
もっている能力を 活用しようじゃないですか!


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モジモジ君は その上に ワイシャツを着ても
やや薄れますが 効果は顕在であります
何より 私の この数年の体験が 証拠であります


寝るときは 竹のマットに 竹の枕
これで シーツと体が密着するのを防ぎ
モジモジ君の放射冷却により 快適な夜が過ごせます


そうです
24時間 着るだけで あなたの夏が
いや 地球の夏を 変えることができるのです!


冷房漬けの友人は かつてから 原発反対派でした
ですので 今回の有事を さもありなんと 憤慨しております
しかし 私から見れば それは矛盾であります


私は 社会的な意見は なんら持たない
無責任な 傍観者のスタンスを とっています


しかし 声を上げるのであれば 先づ隗より始めよ
地球に嫌われない生物として生活して 
はじめて ひとつの意見となると 思っております


まぁ 私は 環境問題なぞ 関心無いのですが・・・


そんなワケで 
モジモジ君を活用することを推奨致します
週末 スポーツ用品店に 足を運んでみて下さい


女性用も あります
ピッチリした サイズを選んで下さい
気に入ったら こまめに洗濯するために 数枚 購入して下さい


歴史に残る 2011年が始まって 
182日が過ぎました
残りは 183日であります


ちょうど 半分に当たる節目の今こそ 
本来の自分の能力を 信じてあげてください
そして 新しい自分の能力を 活かしてあげてください!

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10. 06. 07

遮断機の向こう側

カンカン カンカン
続いて遮断機が 降りてきて
踏み切りの前で ふぅ


すでに 車内の照明がついている電車が
勢いよく 目の前を通過していく
線路の継目が リズムを刻んで


漫然と漠然と 電車を見てれば
電車は 流線の塊でしかないのだけれど


電車の速度に合わせて 
首と視線を走らせば
クッキリと静止した車内が見えた


扉の窓から ボンヤリと外を見てる人
あの人だって 視点を動かさなければ
車窓は 流線の景色でしかないのだろう


再び 視線を静かにさせれば
凄い勢いで 流線が過ぎてゆく
どんな人が乗っているのか 分からないまま


全体は いつだって 漫然としか眺められない
部分は こちらも速度を合わせて 一瞬だけ
垣間見ることが出来るだけ


電車が過ぎて
カンカンも 鳴り止んで
静かになった視界に 遮断機が上がってゆく


遮断機の先端の延長には
泣き出しそうな雲が ぐったり
動き出した 人と車の流れの中で
しばらく 邪魔でしかない存在になった

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10. 05. 29

ガチョーン

Gachon


蛾 と 蝶 なんて その差は イメージ
両者は 全く おんなじ イキモノ


差別するのは 攻撃じゃなくて
貧しい自信の セコい ディフェンス 

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09. 11. 07

世界が広かった頃

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子供の頃 家に 足踏みミシンなるものがあった
ミシンが 何をするものかなぞ 分かるはずもなく
子供にとって それは 乗り物だった


不安定な座席に座って 
隙間から 小さな手で ハンドルを握れば
左右にグラグラ揺れる 不思議な乗り物


クラクションとか エンジン音は
自分の口で再現して
部屋の隅で いろいろなところへドライブへ行った


ミシンのドライブは 体の成長と共に 卒業した
やがて 自転車に乗って 活動領域は
少しずつ 広がっていった


大人になって 様々な乗り物で 様々な場所へ移動するようになった
でも あの頃のような 未知のドライブは できなくなった気がする
部屋の隅から発車した乗り物は 今より広い世界を 旅していた

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09. 10. 13

電波の時代

調律屋は 工具カバンの中に
電子温湿度計を 常に携えている


コンサートの時に 調律の変化予防に
会場の 温湿度を チェックし
時には 照明やエアコンを コントロールしなければならないからだ


しかし 電子の温湿度計とは
意外に アテには ならないものなのだ


街の家電ショップに赴き
温湿度計が陳列されたケースを見てみれば 一目瞭然なのだが 
同じ温湿度の空間でも ひとつとして 同じ数値を示しているモノなど無い


つまるとこ
0度と100度の間は 我々に絶対値は測れず
ファジーな数値しか存在していない と思われる


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しかしだ


先日 電波時計コーナーを見て 愕然とした
電波時計というのは 時計が勝手に 電波によって
時間を合わせてくれるので 完璧な時間を把握できるハズなのである


それが この写真のように 秒数に違いはあるは
日にちまで 狂っているのである


その昔 Mrヴァイオリンが こんなナゾナゾを出してくれた
「5分遅れている時計と 止まっている時計
どちらが 正確な時間を示してくれるでしょうか?」


正解は 止まっている時計で
24時間のうち 2回は正確な時刻を示すそうで・・・


ま それも 針時計の時代の話である


デジタル放送になると テレビは時報を流さなくなるらしい
なんでも デジタルの方が 受信が遅くなって
正確な時間に 正確な時報を 流せなくなるというのが その理由らしい


なんだか 電波時計にしても デジタル放送にしても
進化しているのかどうか よく分からなくなってくる
そう考えると お月様や お天道様は 相変わらず正確無比で 素晴らしい


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09. 10. 11

魚を食べなかったワケ

休日の午前
我々は 山中の渓流で
マス釣りに興じていた


私は フライを遠くへ飛ばそうと 
リールのついた竿を 前後に大きく振り回していた
ケンタは 普通の竿で イクラを餌にして
赤と黄色の丸いウキを見つめていた


まずまずの釣果に そろそろ昼メシにしようということになり
薪を集めてきて火を起こし ニジマスを串刺しにして
クーラーボックスのギネスで 乾杯をした


私は 出来立ての軍服を着て
ケンタは 30年代のミツゾロイを着て


というのも ケンタ曰く
「紳士たるもの いつでも正装するものです」
なので 動きにくいこと この上ないのだが
しぶしぶ 正装して 休日のフィッシングに勤しんでいた


確かに ポワロやホームズのドラマを見ると
いついかなる時も 彼等は正装している
なので まあ 紳士ごっこだと思って 軍服を着てきた


『ところで ヘイスティングス ピアノはどこまで出来あがったかね?』
「ハッ! ワトソン君 いい質問だ」


我々は お互いに探偵になりきっており
私はポアロで ケンタを 助手のヘイスティングス呼ばわりをし
ケンタはケンタで ホームズになりきり 私を 助手のワトソン扱いしていた


しかし のんびりと 焚き火を囲みながらも
楽器の話ばかりしている というのも
なんだかなー


そこへ バリバリ 登山の格好をした 娘さんが二人 やってきた
ナップザックを背負い 帽子をかぶり チェックの長袖に チョッキである
なんだか 絵に描いたような 登山コスチュームなのである


『わー これ 釣ったんですか? すごーい!』 一人の娘さんの驚嘆に
すかさず ケンタが紳士然として
「よかったら 食べていきませんか? まだ たくさんあるので」


ということで 我々は4人で 焚き火を囲んで 山のランチとあいなった
聞くところによると 彼女達は 大学時代の山岳部の友人同士だという
ナップザックから 弁当を出し 食べ始め ニジマスが焼ける間 歓談した


『お二人は どんな お仕事をされてるんですか?』 右の娘さんが尋ねてきた
ほら見ろ せっかく こんな出会いがあるのに
山中で 軍服とミツゾロイでは 怪しいこと この上ないではないか


しかし ヘイスティングス じゃなかった ケンタは シラっと言った
「探偵です」


はぁ? 


二人の娘さんは 固まったまま 私の方へ視線を向けてきたので
私は 激しく逡巡した・・・
ここで ケンタを差し置いて 自分だけ イイモノになるワケにはいかない


なので 笑顔で言ってやった
「私は 怪盗です」


二人の娘さんは 大笑いしてくれて
ケンタも 私のアドリブを 気に入ってくれたようで
なんだか 盛り上がっていった


娘さんは 「探偵さん」 と 「怪盗さん」 と 呼んでくれた
なのに 我々は互いを 「ヘイスティングス」 と 「ワトソン君」 と 呼び合っていて 
全く なんだか よく分からない状態だったが 盛り上がっていった


そこへ 一人の登山ルックの男性が 大声で叫びながら やってきた
「だめじゃないか! こんな焼き方では だめじゃないか!」
すると 二人の娘さんは 弁当を持ったまま 瞬時に立ち上がり
『あ! 石崎先輩!』 と 凍りついた表情になった


以前の私であれば その男性の勢いに気圧され
すいません すいません と 意味もなく 謝ってしまっただろうが
なんといっても 軍服を着た 怪盗ポワロ中尉に なりきっているのだ
思い切り ガンを飛ばしてやった


すると ケンタが おじけることなく 男性に向かって言い放った
「なんだ君は 失敬なヤツだな!」
おお かっちょいい!


しかし 男性は ひるむ様子もなく
我々の釣ったマスを 手際よく ナイフでさばき始めた
ちょうど アジの開きのように 次々と マスの開きが出来上がっていく


男性は 残っていた 全てのマスをさばいて 怒った口調でつぶやいた
「こうしないと マスの寄生虫が死なないんだ」
そして 血まみれになったナイフをしまい スタスタと行ってしまった


ケンタと私は 唖然としていた


しかし 娘さん二人は 驚愕したまま フリーズしている


私は言った 「二人の お知り合いの方なんですか?」
娘さん達は 互いに顔を見合わせて 『 え え まぁ 』
まだ 震えている


すると ケンタが言った 
「もしかして ストーカーかナンかですか?」
『 い いや そうじゃなくって・・・』


しばらくして 二人は ようやく座って
ことの次第を ポツリポツリと 話してくれた


石崎先輩というのは 大学の山岳部の先輩なのだそうだが
この夏に もう少し上流にある渓流で 
突然 激しく嘔吐して 悶絶して 亡くなってしまったのだそうだ


二人は 今日も その現場に花束を捧げ 供養する為に来たそうだ


そして なんでも 石崎先輩は
吊り上げたイワナの寄生虫が原因で 
食中毒のショック死をしたそうで・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


最近 私は 毎晩 ケンタから借りた
「シャーロックホームズの冒険」 か 「名探偵ポワロ」 のDVDを
一話ずつ見て 寝ることにしている


そのせいだろうか 夜に見る夢まで おかしくなってきてしまった


昨夜の夢は ここまでの記憶しかない
もしかしたら 私とケンタは 勇気を持って
現場に行って 調査を開始したかもしれない


いや 私のことだから
恐らく せっかく焼けたニジマスも 捨ててしまって 
アワワ アワワと 山を下ったかも知れない


なので 今日は一日 焼魚を食べる気には ならなかった

 
  

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09. 08. 27

タクシーに乗って (下)

21時に飛行機は 成田に到着した
人気が無いのに いつも行列している 入国審査を経て
間の悪い 列車の乗り継ぎを繰り返し
最寄駅に着く頃は すでに 0時近くになっていた


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最寄駅から タクシーに乗ろうと思って
ふと 思い出してしまった
そうだ 財布には 1万円札しか入っていない


私は 理由もなく
タクシーの運転手に 万札を支払うのは 迷惑な行為だと思いながら
それでも タクシーの前に立つと 自動ドアが開いた


「すいません 1万円札しかないのですが よろしいですか?」
私は 恐縮していると 不思議な敬語を使う癖がある
『ああ 大丈夫だよ』


そして トランクを開けてくれて 20キロのスーツケースを入れた
一人でも出来たのだが わざわざ 手伝ってくれて
私は ますます恐縮して ちょっと 申し訳ないモード全開になってしまった


細かい札もなく しかも 積み込みまで 手伝わしてしまった
彼は ここまでも そして まだ これからの時間も
ハンドルを握り続けるのだろう・・・ あぁ すまない あぁ すまない


自動ドアが閉まると 車内は ひっそりと冷房が聞いていた
しかし 運転手は 車を出す気配がない
ハテ・・・


『お客さん どこまで?』
ああ そうだ 目的地を言っていなかったのだ
あぁ はずかしい あぁ はずかしい


「家まで」


・・・


『家って どこまで行けばいいの?』


・・・


私は 最初 この言葉の意味が 分からなかったのだが
3秒ほどして とてつもない発言をしていたことに気付き 赤面した


「あ すいません 花ノ木幼稚園前まで 宜しくお願い致します」


私は 終始無言で モジモジしながら 到着を待った
申し訳なさと 恥ずかしさで 「お釣りは結構です」 などと言いたかったが
なんといっても 1万円札である・・・ 


Uターンして 駅に戻るタクシーのテールランプを
私は 深夜の街に ゴロゴロと迷惑な音を発しながら スーツケースを引き
心の中で 何度も詫びながら 見つめていた


今度 タクシーに乗る時には
120円くらいのガムでも コンビニで買って
二度と 万札で恐縮することがないようにしようと 心に誓った


この日 乗った ふたつのタクシーで
私は まさに 天国と地獄を 味わってしまった

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09. 08. 26

タクシーに乗って (上)

6月に発行された 新しい札 5万ウォン札
今回の旅で ついに遭遇できた!
嬉しかった!


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最終日に ホテルから空港まで タクシーに乗った
街中で タクシーは すぐに捕まるのだが
運転手が どんな人なのかは 乗ってみるまで分からない


韓国のタクシーは 自動でドアが開かないから
ドアを開けて 運転手の顔を見ながら
「インチョン空港まで 行けますか?」 と 尋ねた


振り向いた 運転手は 60代くらいの ダンディな紳士
声も 低く やわらかくて 韓国語も 聞き取り易かった
これは 最後に素敵な人に出会えた そう思った


例えるなら あの志木在住の 天才チェンバロ製作家
Mrシバタのような 渋いジェントルマンである


20キロのスーツケースを トランクに入れて 出発
混雑した市内から 漢江を渡り 高速に乗って 西へ
いろいろな思い出を反芻しながら 車窓を ぼんやり眺めていた


すると 高速に沿って 列車が走っている
あれ? インチョン空港って 鉄道 無かったよな・・・
それで シバタに聞いてみた


すると 「最近できたのだけれど
まだまだ リムジンバスや タクシーに比べて不便な点が多く 
お客は それほど乗っていない」 と話してくれた


嗚呼 なんて 聞き取り易い韓国語だろうか!
渋いバリトンながら 輪郭は鮮明な発音 
今回 言葉が聞き取れなくなっていて 落ち込んでいたが
最後の最後に 本当に救われる人に出会えた!


説明は 続く
「それでも タクシーやバスに比べると 運賃が一番安いから
いずれは たくさん利用者が増えるだろう」 と


ふうん


『でも 韓国の交通費は 日本に比べると とても安いので 感謝です』
「日本は そんなに 高いのか?」
『ええ 交通費だけでなく 物価は全て 韓国より高いのでウンザリです』


その時 ふっと 思った
シバタの笑顔を見たいと
そして 今回の旅で ふたつめのギャグを言おうと 思い立った


『あ でも たったひとつだけ 韓国より安いものがあります』
シバタは ちょっと興味をひかれた顔で
「それは 何かね?」 と尋ねた


さあ ウケてくれるだろうか
なんてたって シバタである!
渋いダンディーな ジェントルマンである・・・


『僕の給料です』


・・・


「フッフッフッフ」


シバタは やわらかな顔で 低く笑ってくれた!
やった! ウケたぞ!
そして 談笑をしながら 空港に到着した


私は タクシー代を払う時
初めて 5万ウォン札を手渡した
彼は優雅な仕草で それを受け取ってくれた


私は これから 5万ウォン札を見るたびに
彼の笑顔を 思い出すことだろう

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09. 03. 26

指紋の勇気

イテテ イテテ・・・
ん? 
あ! トゲが刺さってたのか・・・


窓から降りてくる 午後の光にかざして
指先を 注視する
点のような 微小なトゲの周りには 延々と指紋


ふうん


指紋なんて 普段 しっかりと見てなかったな
これが 僕の指紋なのか 
これが 僕だけの 紋様なんだ ふうん


世界に どれだけの数の人間が 存在しているか知らないけど
この指紋は ひとつしか無いという
何十億 いや きっと無限だろう その中の たったひとつ


数学で 1/∞=0 と教わったけど
人間は 無限の中の一人でも ゼロではない
一人/∞≠0


でも よく考えると 人って みんな 完全に異なってるよね
完全に同じものなんて 世の中には ひとつも 存在してないよね
指紋だけじゃなくって 顔も 体も 心も みんな異なってるのに


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そっか 指紋は 変わらないんだ
同じものが ひとつしかない というのでなく
指紋の価値は 変わらないことにあるのかも知れない


人は 成長するし 化粧するし 床屋に行くし 服を着るし
食事をするし 運動するし 太陽を浴びるし ケガをするし
本を読むし 愛でるし 憎悪するし 孤独になるし 抱きしめるし


そんな中で 指紋は ずっと同じ 頑なに同じ


変わり続けるモノばっかりだから 
変わることのない 小さな紋様に 
とてつもない意味と価値を 見つけたんだろうな


ほんの僅かな起伏の連続
人為的には 描きにくい曲線の連続
そのくせ 妙に等間隔な線幅の連続


変えなくてよいモノを 変えずにいられる勇気と
変えるべきモノを 変えることのできる耐力と
その いずれかを 判断できる賢明さと


世界に たったひとつな紋様は 
ずっと沈黙してるくせに 意外と雄弁
トゲ 抜いてあげるから ずっと そのままでいてくれよ 

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