オヘソを隠して
蝉達のシンフォニーも 戻ってきた
週末の花火が上がれば オナカにも鼓膜があるみたい
そして 夕方になれば 雨と雷のカデンツ
夏は いろんな音が聞こえる
口と目は 閉じられるのだけれど
耳と鼻は 閉じられない
だから 夏は いつもより受動態
体じゅうに 小さな舞茸が ギッシリ生えてきて
自分の悲鳴に びっくりして 夢から覚めて
だから 夏は いつもより能動態
気まぐれで 激しい落雷のあと
「なんてね」 と言いながら 遠くの晴れた空に
人間の視覚だけが作り上げる レインボー
夏は いろんな変化が大げさ
まっすぐ飛べないくせに 寄り道もしないコウモリ
ドラキュラの子分だと信じていたのは 遠い時代
今では知ってるよ ドラキュラより 人間の方が恐ろしいって
夕立で アスファルトは 小さな川になって バッハも苦笑
激しく過ぎてゆく車は 紅海を渡るモーゼの気分
でもきっと みんなカナンに辿り着けるんだろうな
夏は いろんな気配が魍魎
暑いだけじゃないんだ 夏は
渇いて 濡れて
沈んで 騒いで
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