前略 森の中より ③
先日 森を歩いた
テクテク テクテク 汗だくになって
大自然の中の 小さな小さな存在になって
背負った リュックの中は ぎっしり
2時間で 1リットル というのを目安にして
たくさんのペットボトル だから ずっしり
底が ほどよくデコボコで
僕の足のカタチに合った
つかれることのない シューズを履いて
傾斜が急な場所を 抜けて
等高線の密度を 頭の中で描きながら
倒木に腰をかけて 呼吸を整えて
僕は この暑さの中でも
この 険しさの中でも
足る装備だから 楽しめるのだけれど
「恥ずかしながら 帰って参りました」
ふと ある兵士の言葉が 蘇った
わずか 70年ほど前の 南洋の森の中
彼等は 全てが足りない環境で
命をつなげていた
そして 多くの者は 果てていった
彼等は 山の中で
どのような気持ちだったのだろう
兵士として 人間として 生物として
うまく 魚が捕まえられたり
おいしい 木の実を 見つけた時
少しでも 嬉しいと思う瞬間があってくれたら
終戦を知らず 武器も果てて
人間だけじゃなくって 大自然すら
大きな敵として 立ちはだかっていたことだろう
ぬるくなったけど
純粋な水を 喉を鳴らして 飲みながら
ひとつ ひとつ 足らぬモノを 満たしながら
僕は なんだか 泣きたくなった
でも その間違いにも すぐに気づいて
リュックを担ぎなおせば
さっきより ずっしり
心の中まで
さっきより ぎっしり
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