« ポカーンな僕は 時々タラーン | Main | あの日の気圧 »

11. 04. 04

モルフェウスの音域

88鍵のピアノが
鍵盤楽器の音域の 
スタンダードになって久しい


調律に行って ハンマーの痕跡を観察してみるに
こんな 広い音域なぞ 必要ないことが しばしば
ハンマーには 弾かれない音に 弦の跡は残らないのである


新しい楽器を 設計する時
まず 第一に苦慮するのが
この音域の問題である


通常なら 製作家は
残された名器を 手本とするので
その音域を 採用すればいいのだが


私のように 図面が入手できない ボンビーな輩は
自分で すべての設計を しなければならず
まあ これが ワクワクの第一歩でもあるのだが・・・


初期の作品を 演奏するのであれば
音域のみならず 鍵盤の分割や
ショートオクターブという選択肢もある


分割鍵盤は 異名異音を有する音律には 最高の解決策で
例えば ミの♭ と レの# などを分割することで
両音を 別の高さで調律でき 演奏することができる


ただし この分割鍵盤の 最大のネックは
トランスポーズという ピッチ変更には リスキーであること
つまり 隣の弦が 必ずしも 半音ずれていないのである


ショートオクターブは 鍵盤の節約につながる
元々は 重要でないパイプ製作の 節約から発祥したのだが
このシステムも トランスポーズには 不向きである


そして 音域である


バロックまでなら 5オクターブで 事足りる
しかし 実は 4オクターブ前後の 狭い音域の楽器は
広い音域には出せない なんともいえない魅力が内在する


ただ 時々 いや 当然
音域が足りなくて 弾けない曲も出てくる
だからこそ 悩ましいのである


そして オリジナルな設計をする者にとっては
この 悩ましい時期は 悦楽の時間でもある
あれこれ 思いを膨らませて ウーム ムムム


ムムムは アドレナリンの分泌量に 比例しているのだ


C3b59710


 

|

« ポカーンな僕は 時々タラーン | Main | あの日の気圧 »

Comments

The comments to this entry are closed.