銀河鉄道の夜
一昨日の夜は ケンタの家が停電だった
昨日の夜は ウララの家が停電だった
みんな 順番に 暗い夜 澄んだ夜
ウララからメールが来た
「真っ暗な街に 電車が走ってゆく
まるで 銀河鉄道777みたい」
惜しい!
銀河鉄道は
それほどラッキーじゃないんだ
999だから
かくいう自分も
一昨日の夜から
停電のゲネプロ
電気を消して ランプを灯して
暖房を消して ダウンを着こんで
ナルシストな 停電のゲネプロ
炎を ぼんやりと見つめると
いろんなことが ゆらりゆらり
余震も加わって もっと ゆらり ゆらり
あらゆる動物の中で
炎を恐れないのは
人間だけ というけれど
それは どうかな
炎との距離を知って
炎の消し方を知って
炎の起し方を知って
ただ それだけなんじゃないかな
知ることによって
恐れを克服したと 思ってるだけなんじゃないかな
恐怖っていうのは
未知の上に成り立っている
知りすぎた上には もっと大きな未知があるのに
ゆらり ゆらり
「雨にも負けず 風にも負けず
雪にも 夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち」
80年前に 盛岡で書かれた詩
「慾はなく 決して怒らず
いつも静かに笑っている」
彼は 生前 この詩を発表してないんだ
「東に病気の子供あれば 行って看病してやり
西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい」
彼は そういう人ではなかった
だから こういう詩を書いたのだと思う
でもね・・・
「褒められもせず 苦にもされず
そういうものに わたしは なりたい」
そういう人になりたかったんだ
完全な人間なんて いないのだけれど
そういうものに なろうとする気持ちさえあれば・・・
ゆらり ゆらり
ナルシストな 停電のゲネプロ
ナルシストな ユートピアへのゲネプロ
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