生きていたポンコツ
アジトには 電話が無い
もちろん FAXだって無い
しかし 別に困ることなど無かった
家にかかってきた電話は
全て携帯へ転送されるので
困ることなど無かった
FAXは 別の番号を取得していて
どこにいても パソコンでやりとりできるので
困ることなど無かった
が
年末に 久しぶりに困った
光回線の工事を終了した後
家の電話で 開通したかどうか確認したいから
電話をさせてくれ と言われた
「あの・・・ 携帯じゃ ダメでしょうか」
『家の電話でなきゃ 確認できないので・・・』
「うち 電話 無いんっすよ」
工事のオジサンと 私は
フファー と溜息をついて フリーズした
勿論 二人の溜息の意味は 全く別のモノなのだが・・・
あ そうだ!
私は 押入れの奥から ガラクタボックスを 引っ張り出して
ゴニョゴニョと ガラガラと 一人ごちながら発掘を開始した!
そして 数年ぶりに こっけいなイチモツが 陽のあたる場所に甦った!
「ありました ありました これでもいいですか?」
『・・・これ おもちゃじゃないんですか?』
「いえ 昔 これで通話してましたから たぶん 大丈夫です!」
はたして モジュラーをつなぐと
ロートルなイチモツは ツー かなんかつぶやきながら
現役であることを 教えてくれた
『しかし・・・ これ どうやってダイヤルするんですか?』
「え? ダイヤルじゃなきゃダメなんですか? プッシュなんですけど・・・」
『プッシュでもいいですけど ボタンが無いようで・・・』
「あー ここです! ここです!」
私は 電話をひっくり返して
裏側を見せた
その時 初めて 工事のオジサンは 笑顔を見せてくれた!
年末最高の危機を 無事に乗り切り
サクサクになった パソコンを ピコピコしながら
私は イチモツ君を シゲシゲと眺めた
果たして いつ どこで この電話を買ったのだろうか
まだ携帯が普及する前
私は 人並みに電話に出ていたし
様々な電話機を 集めていた
ほとんど 捨ててしまったのだが
何故か 幾つか
ガラクタボックスの中で 眠っている
パソコンの時代になって
ちょっと 時間が経つだけで
全く使えなくなるモノが 増えてきた中で
電話の方式は 相変わらずらしい
こんな旧式なポンコツでさえ
光回線で使用できるというのは どういうことなのだろう
ケンタが アジトに遊びに来たので
どうだ カッチョいいだろう!と 自慢してみせたら
「このグルグルのコードがいいですね」と
コードだけ褒めて 帰っていきやがった・・・
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