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10. 01. 13

小さくってもドデカゴン 作成中①

きっかけは 08年の「夏の陣」
韓国調律師協会の 夏季セミナーに招聘され
チェンバロの構造と 古典調律について テキストを書き始めていた


資料収集と テキスト作成を開始した頃
梅岡親分から 百近くの古典調律のデータが書かれた冊子を お借りしたんだ


Img_4503


古典調律といっても ピンと来ない方々もいらっしゃることだろう


現在のピアノや電子楽器は
平均律という 音律で調律されているのだけれど
ピアノが普及する前は 実に様々な 音律が存在していて
バラエティー豊かな ドレミファソラシドがあったんだ


だから バッハが聞いていた ドレミは
現代の ドレミとは 違う響きをしていて
そういった 様々な響きの調律法を 古典調律と称しているんだ


さて お借りした この百近くの音律が掲載された冊子は
しかし セント値だけで計算され 精密な比率の記述はなく
ぱっと見ただけでは 調律師といえども 解読しにくいものだったんだ


なので 冊子をお返しする時に
御礼を兼ねて 梅岡親分に
「それでは 全部 五度圏図にしてきます」 などと 約束してしまった


Img_4504


夏の陣が終わって 落ち着いた頃
このデータを 解読する作業を開始したんだ


僕は 古典調律を 大きくふたつに分類する
ひとつめは 純正な長三度が登場する シントニック・コンマ系
ふたつめは それ以外の ピタゴラス・コンマ系


ひとつひとつのデータを ふたつに分類して
それから 曖昧なセントを 比率に当てはめる作業に入っていった


Img_4505


比率にする理由は
セントだけでは 正確な振動数は算出できなくて
そうすると 正確な唸りも 算出できないからなんだ


分析を進めていくと 違う作者でも 
同じ音律があるものが 幾つか判明してきて
全部で95個しかないことが分かった


ここまで来ると
せっかくだから
百の音律の5度圏図を 作成したいと 思い始めたんだ


それも 通常の記号や数値の 五度圏図でなくて
視覚的に 5度と3度の大きさが すぐに分かる五度圏図で・・・


Sakuru30x


外側の円が 完全5度の純正
内側の円が 長3度の純正


この円から 内側に折れ曲がった音程は その大きさだけ 狭く唸っていて
外側に折れ曲がった音程は その大きさだけ 広く唸っている


例えば 上の図は キルンベルガー3なんだけれど


CからEの5度(外側の円)は 内側に大きな三角が並ぶから
この4つの5度は 純正より狭く唸っているんだ
これは 平均律の倍以上 唸っているんだ


でも 3度(内側の円)は ♯や♭が少ない音程では
三角も小さいから 比較的 穏やかな唸りなんだけれど
EからB辺りは 外側に大きな三角があるから 純正より広く唸っているんだ
これは 平均律よりも 激しく 唸っているんだ


古典調律は 純正な音程があるというけど
純正な音程だけでは 全ての音を調律できなくて
♯や♭の多い調と 少ない調では 響きは ガラッと変わるんだ


って この辺りで やめときゃ よかったんだけどね・・・ 続く

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