小さくってもドデカゴン 作成中①
きっかけは 08年の「夏の陣」
韓国調律師協会の 夏季セミナーに招聘され
チェンバロの構造と 古典調律について テキストを書き始めていた
資料収集と テキスト作成を開始した頃
梅岡親分から 百近くの古典調律のデータが書かれた冊子を お借りしたんだ
古典調律といっても ピンと来ない方々もいらっしゃることだろう
現在のピアノや電子楽器は
平均律という 音律で調律されているのだけれど
ピアノが普及する前は 実に様々な 音律が存在していて
バラエティー豊かな ドレミファソラシドがあったんだ
だから バッハが聞いていた ドレミは
現代の ドレミとは 違う響きをしていて
そういった 様々な響きの調律法を 古典調律と称しているんだ
さて お借りした この百近くの音律が掲載された冊子は
しかし セント値だけで計算され 精密な比率の記述はなく
ぱっと見ただけでは 調律師といえども 解読しにくいものだったんだ
なので 冊子をお返しする時に
御礼を兼ねて 梅岡親分に
「それでは 全部 五度圏図にしてきます」 などと 約束してしまった
夏の陣が終わって 落ち着いた頃
このデータを 解読する作業を開始したんだ
僕は 古典調律を 大きくふたつに分類する
ひとつめは 純正な長三度が登場する シントニック・コンマ系
ふたつめは それ以外の ピタゴラス・コンマ系
ひとつひとつのデータを ふたつに分類して
それから 曖昧なセントを 比率に当てはめる作業に入っていった
比率にする理由は
セントだけでは 正確な振動数は算出できなくて
そうすると 正確な唸りも 算出できないからなんだ
分析を進めていくと 違う作者でも
同じ音律があるものが 幾つか判明してきて
全部で95個しかないことが分かった
ここまで来ると
せっかくだから
百の音律の5度圏図を 作成したいと 思い始めたんだ
それも 通常の記号や数値の 五度圏図でなくて
視覚的に 5度と3度の大きさが すぐに分かる五度圏図で・・・
外側の円が 完全5度の純正
内側の円が 長3度の純正
この円から 内側に折れ曲がった音程は その大きさだけ 狭く唸っていて
外側に折れ曲がった音程は その大きさだけ 広く唸っている
例えば 上の図は キルンベルガー3なんだけれど
CからEの5度(外側の円)は 内側に大きな三角が並ぶから
この4つの5度は 純正より狭く唸っているんだ
これは 平均律の倍以上 唸っているんだ
でも 3度(内側の円)は ♯や♭が少ない音程では
三角も小さいから 比較的 穏やかな唸りなんだけれど
EからB辺りは 外側に大きな三角があるから 純正より広く唸っているんだ
これは 平均律よりも 激しく 唸っているんだ
古典調律は 純正な音程があるというけど
純正な音程だけでは 全ての音を調律できなくて
♯や♭の多い調と 少ない調では 響きは ガラッと変わるんだ
って この辺りで やめときゃ よかったんだけどね・・・ 続く
The comments to this entry are closed.
Comments