タクシーに乗って (上)
6月に発行された 新しい札 5万ウォン札
今回の旅で ついに遭遇できた!
嬉しかった!
最終日に ホテルから空港まで タクシーに乗った
街中で タクシーは すぐに捕まるのだが
運転手が どんな人なのかは 乗ってみるまで分からない
韓国のタクシーは 自動でドアが開かないから
ドアを開けて 運転手の顔を見ながら
「インチョン空港まで 行けますか?」 と 尋ねた
振り向いた 運転手は 60代くらいの ダンディな紳士
声も 低く やわらかくて 韓国語も 聞き取り易かった
これは 最後に素敵な人に出会えた そう思った
例えるなら あの志木在住の 天才チェンバロ製作家
Mrシバタのような 渋いジェントルマンである
20キロのスーツケースを トランクに入れて 出発
混雑した市内から 漢江を渡り 高速に乗って 西へ
いろいろな思い出を反芻しながら 車窓を ぼんやり眺めていた
すると 高速に沿って 列車が走っている
あれ? インチョン空港って 鉄道 無かったよな・・・
それで シバタに聞いてみた
すると 「最近できたのだけれど
まだまだ リムジンバスや タクシーに比べて不便な点が多く
お客は それほど乗っていない」 と話してくれた
嗚呼 なんて 聞き取り易い韓国語だろうか!
渋いバリトンながら 輪郭は鮮明な発音
今回 言葉が聞き取れなくなっていて 落ち込んでいたが
最後の最後に 本当に救われる人に出会えた!
説明は 続く
「それでも タクシーやバスに比べると 運賃が一番安いから
いずれは たくさん利用者が増えるだろう」 と
ふうん
『でも 韓国の交通費は 日本に比べると とても安いので 感謝です』
「日本は そんなに 高いのか?」
『ええ 交通費だけでなく 物価は全て 韓国より高いのでウンザリです』
その時 ふっと 思った
シバタの笑顔を見たいと
そして 今回の旅で ふたつめのギャグを言おうと 思い立った
『あ でも たったひとつだけ 韓国より安いものがあります』
シバタは ちょっと興味をひかれた顔で
「それは 何かね?」 と尋ねた
さあ ウケてくれるだろうか
なんてたって シバタである!
渋いダンディーな ジェントルマンである・・・
『僕の給料です』
・・・
「フッフッフッフ」
シバタは やわらかな顔で 低く笑ってくれた!
やった! ウケたぞ!
そして 談笑をしながら 空港に到着した
私は タクシー代を払う時
初めて 5万ウォン札を手渡した
彼は優雅な仕草で それを受け取ってくれた
私は これから 5万ウォン札を見るたびに
彼の笑顔を 思い出すことだろう
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Comments
5万ウォン札をこんなにいっぱい持って・・・いいなあ。
一枚ちょうだい。なーんて。
Posted by: おおぐま | 09. 08. 26 PM 11:44
Dear おおぐま
紘子ちゃんになら いいよ!
パパは ダメ!
Posted by: 某閑人 | 09. 09. 07 AM 7:41