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09. 08. 28

魔法使いアサリーちゃん

考えてみると 
台所で 生きている食物を 調理することなんて
ほとんど ないだろう


魚だって 新鮮であっても 既に死んでいるハズだし
肉だったら 生きてる獣を 
台所に運びこむことなんて ありえない


というか トサツ現場なんか 見ちまったら
一生 肉 食えなくだろうし


Photo


がしかし 例外もある
それが 貝である
そして 私は今 アサリに はまっている


スーパーの陳列棚にいた時
アサリは 容器の中で
元気よく ウニョウニョ ブクブク やっていた


おお! 生きている!


喜び勇んで メルセデスそっくりの軽バンを かっとばし
自宅の台所で 砂抜きの準備に とりかかった
が この時 アサリは すっかり 殻を閉ざしてしまっていた


あれれ おかしいな
死んじゃったのかな
車に 酔っちまったのかな


私は バカラそっくりの器に 沈黙したアサリを並べ
バカスカ 砂抜きしたくなる環境を整え
冷蔵庫に そっと 置いた


この時からである


私は 十分おきぐらいに 冷蔵庫を空け
フタを取り アサリの御機嫌を伺い始めた


「おーい 生きてるかい?」
「生きてるんなら 機嫌 治してくれよ! 頼むよ!」
「おーい ア・サ・リ・ちゃーん!」


普段 独り言を呟く習慣など ないと思うのだが
なんだか この部屋に 生きてるのは
私と 油虫と アサリ君くらいだから 
妙に嬉しくなって たびたび 話しかけ始めたのである


ギターを 抱えれば
自然に 「アサリ君ごめんねー」 なんていう即興曲を歌い
ほとんど 食材というより ペットのような感覚に陥ってしまったのだ


歌い終わって 冷蔵庫に逢いに行こうと 立ち上がると
開け放たれた窓の下から 中学生くらいの
女学生達のささやきが 聞こえてきた


『アサリちゃーん だって!』
『ハハハハ!』


やばい


女学生の声が こんなに聞こえてくるということはだ
私の名曲 「魔法使いアサリーちゃん」の 歌声は
近所中に 響き渡っていたことだろう・・・


嗚呼 しばらく ゴミを出しに行くのが 恥ずかしくなってきた・・・


そんなふうに 情がうつったせいか
味噌汁のアサリは やたら 美味かった
やはり 愛情は 空腹と同じくらいの 調味料である


今朝 冷蔵庫を 開けた時
アサリーズは すっかり心を開いてくれたらしく
ニョキっと 両足を投げ出して ブクブク ウニョウニョ 動いていた


あははは 復活した!
キリストだって 三日もかかるのに
私の愛とささやきは 一晩で 復活させる力を持っているらしい フフフ
いっそ 教祖になろうか


さらにだ


今日の昼飯は 門前仲町で 深川丼を食べ
なおかつ 晩餉には 深川メシを炊いてみた
味噌汁も 勿論 アサリである


今夜も 冷蔵庫の中で 新たに買ってきた
私のアサリ君達は 私の歌を聴き 
やがて ブクブク ピュッピュッ してくれることだろう


そんなワケで 私は アサリに夢中である

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Comments

超ウケたです~(*゚▽゚)ノ・・・って
笑っていいところですよね??

Posted by: 笛吹きちゃん♪ | 09. 08. 28 at 오후 10:42

Dear 笛吹きちゃん

いーんです!
そして 本当に アサリは美味い!

Posted by: 某閑人 | 09. 09. 07 at 오전 7:37

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