最後の日食の記憶は
ちょうど 10年前 ドイツ
鍋島先生と 降り立った フランクフルトの空港だった

暗くなり始めて 誰もが 太陽を見上げ
空港内の 大きなモニターには
ヨーロッパ中から 日食の中継が 放映されていた
「人間が生きることも 死ぬことも ちっぽけなコトですね」
先生は そんな言葉を こぼされた
そこから 2週間に渡って
先生は 最後のコンサートへの旅が始まる

地球から 月の裏側は 見えないらしい
でも 日食の時は 裏側も 太陽がいっぱい
あれから 十年か
この夏は あの夏の回想録を
ちゃんと 書かなきゃな
千曲川の せせらぎが 優しいよ
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