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09. 07. 30

堂と私利

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先日 ひたちなかの楽屋で
明晰な音楽家や スタッフの方々と共に
様々な話題で 盛り上がっていた


発酵食品教の信者な ヴァイオリニストが
さりげなく 布教活動をしていたので
キムチから 納豆など やんや やんや 


当然 発酵食品教であれば
ある信仰を試される機会が 訪れるものだ
それは 匂い でなく 臭い という踏み絵である


私は チーズや納豆等の 強臭食品と対峙する時
それらを 初めて食べた人の 
先入観に囚われず それを「美味い」と断じた
その勇気と 自信に 畏れを抱いてしまう


賞味期限 などいう記載に翻弄され
わざわざ 奥の方にある 食品を引っ張り出す
現代人にとって 新しい食の開拓など もはや 不可能であろう


絶対に 食しても 大丈夫なものを
未だ 存在しなかった ミキシングをするのとは
ワケが違うのである


前日作った スンドゥブチゲが 
真夏の たった半日の放置の おかげで
あらぬ強臭を放っている その鍋に スプーンを入れて
「おっ! 意外に美味いじゃん!」と 感激できるか否かなのである!


私には 出来なかった


シュール・ストレンミングなるものは
缶の誤開封に伴う テロに匹敵する強臭暴発を 未然に防ぐため
法律で 缶詰の 飛行機への持込が 禁止されているいう


開けたら最後 その飛行機は
臭くて 使えなくなるという


ハイテクの時代になって
画像や音が 自在に瞬時に 世界を飛び回っても
我々が 比較的 安寧なネットワーク生活に浸れるのも
パソコンの画面から 放臭されないからだと思う


スカイプをしながら
地球の反対側にいる 愛しい人へ 甘い文句を並べている時
うまく 消音に成功したハズの すかしっ屁が スピーカーから洩れたら・・・


いかん テーマが逸れた


とにかく 飛行機まで 使用不能にしてしまう
あるいは 食べる時には 近所中に 事前に告知しなければいけない
そんな 強臭なモノを 初めて食べた人とは いかなる人物なのだろうか


そして 鼻が曲がるような挑戦に挑み
ヌケヌケと 「これは 意外に 美味いぜよ」 などと
誰も信じないコトを 感想として つぶやける 味覚への自信


彼等こそ 本当のグルメだったのかも知れない


更に その感想を 真に受けて
『へぇー そんなに美味いなら オレも 食ってみようかな』 と
鼻を曲げながら 追随していった 初期の弟子たち・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて 夏は 発酵が促進される季節である
もう 仕事では 名を遺すことが出来ないと 諦めた そこのアナタ
ここは運命を変える 絶好の機会である!


22世紀 世界が涙して食する 新しい発酵食品は
もしかしたら アナタが 明日 食する 
その食材かも知れない


さ 朝食後 食べ残しを テーブルに置いたまま
あるいは 冷蔵庫の食材を テーブルに置いたまま
冷房を止めて ヒグラシが聞こえる黄昏 思い切って食べてみよう!


ん? ああ それなら簡単さ
鼻には 洗濯ばさみをすれば いいのさ


え? これって 殺人教唆になるの?

 

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