飲んだら のれん
ある男の話をしよう
彼は なじみの飲み屋で
その夜も しこたま 飲んでいたんだ
隣には 可愛い彼女が 座っていた
おあいそ!
「今夜は イッセイやってるから 気をつけな!」
『マジっすか? これから 彼女を駅まで 送らなきゃいけないんだけど』
マスターは 飲酒検問の日程を いつだって 何故か把握していた
ヘベレケだった
誰が どう見たって 酔っていた
でも ここで 逮捕されるワケにはいかない
ダッシュボードにあった ミントの粒を
一箱 まるまる 口に放り込んだ
目から 涙が出るくらい 刺激が脳天まで 駆け抜けた
そして 飲み屋から 2分後
警察官の 赤い棒にいざなわれて 停車した
「飲酒運転の検問です! 御協力 お願いします!」
『飲んでねーよ』
「ここに 息を吐いていただけますか?」
『飲んでねーって いってるじゃん!』
この 口のききかたからして
典型的な 酔っ払いのセリフである
若い警察官は 苦笑しながら 対応していた
「だいぶ お飲みのようですね この機械に 息を強く吐いて下さい」
ハァァァァァァァァー!
すると どうしたことだろう
アルコール検知器は 緑と赤のランプが
交互に 点滅し始めたではないか!
「あれ? おかしいな 故障かな? すいません もう一度 お願いします」
『電池切れてんじゃないの? 飲んでないって言ったら 飲んでないんだから!』
そして ハァァァァァァァァァァァァーーーーー!
再び 検知器は 異常な点滅を繰り返し
聡明な警察官は 相棒の警察官を指さし
「すいません あちらに行って もう一度 お願いします」
相棒は 彼の息の匂いを嗅がず
機械だけで 判断しようとする 偉人だった
なので 思い切り ハァァァァァァァァァァーと 彼の機械が結露するくらいH2Oをかけた
緑のランプが かろうじて 点燈した
「はい 問題ありません! お手数おかけしました!」
そんなふうにして
酩酊ドライバーは
危機を乗り切ったワケだ
しかし 教訓も学んだ
機械の誤作動は 恐らく ミントのせいだろう
どう考えても 現行犯逮捕な状況である
恐らく 神様が 警告して下さったのだろう
それ以来
彼は 絶対に 飲酒運転をしない
あれだけの危機を 免れたのだ
それは つまり 絶対に 飲酒運転をするな
という 神様からの アドヴァンテージだろう
ま 聞いた話なんだけどね
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