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09. 02. 07

ガリガリ君

そんなワケで まだ 灯油を買いに行っていない
ということは まだ 暖房が無い日々が 続いている
ということは まだ 寒さと 逞しく 闘っているワケだ



部屋の中で 真っ白な息を 見つめながら
これが 溜息なら 青くなったりすれば オモロイのに 
などと 独りゴチながら 白い溜息をつく


寝間着から 戦闘服 じゃなかった 仕事着へ
凍えながら 着替えて いざ 出発 仕事へGO
車に乗り込んで しばらくは 歯が ガチガチと音を立てる


15分もすれば 車の暖房が効いてきて 
これで 凍傷にならずに済んだ などと 一安心する
そういえば 朝飯 食う暇なかったなぁ と コンビニへ寄る


握り飯と お茶なんぞを購入して レジへ並ぶ
会計が済むと 店員が クジを引けと促す
ままに 引いた


「おめでとうございます! 大当たりです!」


え? 大当たり? ジンロ1年分とか もらえるのかな?
まさか コンビニで 自動車がもらえるとも 思えない
なんだ なんだ 商品は! 灯油か?


「ガリガリ君が 大当たりです! おめでとうございます!」


ガ ガリガリ君って アイスじゃねーか!
どこが 大当たりなんだよ!
それに ようやく 寒さから解放されたのに アイス食わされるのか?
胃腸が 凍傷になったら どうしてくれんじゃい!


「あ いえ 今月末まででしたら 全国 どこのローソンでも
 引き換えることができますので 今 無理なさらなくても 結構ですよ」


Photo


楽器をピックアップし 演奏者と共に リハ会場へ向かう
この 演奏者と共に 車に乗っている時間というのは
比較的 緊張するものである


自分は 文章では やたらベラベラ 快活で饒舌であるが
実際に 人と会話するのが かなり下手で 故に苦手で 
かといって 沈黙という空気は 重すぎるので あせってしまう


自分から 話題を持ち出して 世間話をすることが出来ない
知的好奇心を満たすべく 質問とかなら 幾らでも溢れてくるのだが
まさか 朝から 質問攻めというワケにも いくまい


ましてや 後部座席で鎮座されているのは 美人チェンバリストである
ここは オモロイ話でもして つかみをOK牧場にしなければ ならないのだが
うーん なにか 話題は無いものか・・・ そうだ! ガリガリ君だ!


「朝 コンビにで クジを引いたんですよ! 
 そしたら どうやら 大当たりだったんですけど
 それが ガリガリ君だったんですよ!」


いかん・・・ 会話になる前に 全部 しゃべっちまった・・・
寒い朝に アイスが当たった というとこが オチだったのに
もう 発展性もなく 説明し終わっちまった・・・ ああ バカバカバカ 


しかし 美人というのは どうやら 優しさも兼ね備えているらしい
ミルキーな ソプラノで 『おめでとうございます!』
と 祝福してくださり 続けてのたまわった


『監督 ガリガリ君が 好きなんですよ!』
「え? 本当ですか? じゃ この当り券 進呈しちゃおうかな」
『喜びますよ きっと!』


監督というのは 彼女のアンサンブルの音楽監督であり
野球部創設の噂が飛び交っており その時には入部して
自分にとっても 野球部の監督になるかもしれない御仁である


『ガリガリ君って アイスの棒に 絵が描いてあれば 
 アタリで もう1本 もらえるらしいんです
 でも 監督は 今までで たった1回しか 当ったことがないそうです』


うーむ 可愛そうではないか 泣けるではないか
ここで 監督が ガリガリ君 アタリ放題の策を弄すれば
見返りとして 野球部発足後 レギュラーの座をもらえるかも知れない!


「あたったら そのアイスの棒から アタリの焼印をコピーしちゃうんですよ
 そうすれば 永遠に ガリガリ君 アタリ放題なんですけどね
 偽札より 簡単に作れるハズですよ 焼印なら!」


イヒヒ これで レギュラーは確実だろう!
ああ オレって 天才だ! 
などと 悦に入っていたら・・・


『そんなコトして 逮捕されたら どうするんですか?
 まさか ガリガリ君で逮捕なんて カッコ悪すぎませんか?』


どうやら 美人というのは 正義感も強いらしい
というより 確かに ガリガリ君で逮捕されるのは ヘボ過ぎる・・・
世界的な演奏者なのに まさか ガリガリ君で逮捕は・・・


そういえば この犯行を教唆した罪で 自分も逮捕されるかも知れないし
この話を聞いてしまった彼女も 隠蔽罪で 逮捕されるかも知れない
たかだか ガリガリ君のアタリの為に アントレの紙面を賑わすこともなかろう


「そうですね やっぱり 当らなくても 買えばいいんですものね」
『そうよ たかだか60円くらいのアイスなんだから!』


は? 60円? 今時 そんな安いアイスが存在するハズが無い!
いやはや 彼女は 普段から浮世離れしている印象が強い
音楽やってる時は 憑依されてるし そうでない時も どこか生活感が無い


「え? 今時 60円のアイスなんて無いでしょ? 昭和ですよ それ! ガハハハ!
 コンビニとか 行かれたりする機会 あまり無いんじゃないですか?」
『本当に 60円くらいのモノなんですって! 監督が そう言ってたんですから!』


やばい 怒らせてしまった・・・ 会話は 不得手なのだが 
相手を怒らせたり 不愉快な気分にさせるのは
何故だか 天才的といえるくらい とても得意であったりする・・・


おまけに 信号待ちで クジの引換券を しげしげと眺めてみた
・・・本当に 62円と書いてあった


そんなワケで 会場に着くまでには 
ガリガリ君が ここにあっても 決して融けることがないくらい
寒い空気が 車内に充満してしまった・・・ 


どうやら 凍傷になったのは 心だったようだ・・・ 
  

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