権兵衛-41 張弦 8’
調律ピンに対して ピン板の穴の直径は
メープルの場合 0.1mm小さくする
ピンが埋まる長さにもよるのだが
このまま ピンを挿入すると
調律の為に 回転させるとき 結構 硬い
なもんで ピン穴の内壁に
テフロンの粉を アルコールで溶いたモノを塗っておく
これで トルクは そのままで 滑らかに回転するようになる
弦を張る時には とにかく 弦をねじらないように注意する
ヒッチピンに弦のループをかけたら
そこから もう一度 弦のネジレをとりながら 引っ張りなおす
弦がねじれていると 1本うなり という現象が起こる
弦自体が ホワンホワンと 勝手に唸ってしまうのである
これは 調律する時も 静かな曲の演奏も 厄介なものである
ねじらないよう弦を張ることは
ピアノ技術者にとっては 常識なのだが
チェンバロの世界では あまり重要視されていない
調律ピンを植える時 重要視するのは
ピンの高さでなく ナットから調律ピンまでの
弦の角度である
ナットから 調律ピンまでの間には
二つのベアリング つまり 二つの角度がある
ひとつは 設計の段階で決定する サイドベアリング
これは 上から見る時に確認できる角度
もうひとつは ピンを植える時に決定する ダウンベアリング
これは 横から見て確認できる角度
いろいろな考え方があるが
自分は サイドベアリングの角度を しっかりととっているので
ダウンベアリングは 極力 小さくする
大きすぎる ダウンベアリングは
木部に弦が食い込む要因となり 弦の渋滞や 音のつまり
更には 断弦の原因になってしまう
弦の振動というのは
弦が 静止した状態へ 戻ろうとする運動
元の 安定した状態へ 帰る行程
つまり 安定へ向かって 震えている弦を
いかに 大きく 長く 美しい 不安定にしてあげるか
そんなコトを考えながら 弦を張っていく
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Comments
ねじれてると切れやすいってのはあるのかな?
Posted by: いひ | 09. 01. 09 PM 11:03
Dear いひ
切れやすそうだけれど
明言できるほどの 経験とか 実証はないんだ
張弦の時のネジれも 1周以内程度のものだから・・・
Posted by: 某閑人 | 09. 01. 13 AM 11:00
なかなか楽しいブログですね。ここまでオープンに見せてくれる
方はいないような、、、。
私もちょっとした楽器を自作したいのですが、クラビコードなどに使うパーツ(ブリッジピンとか)を売ってくれるところを知りません。
検索してもわかりませんでした。
よろしければ教えていただけないでしょうか?
お願いします。
Posted by: ぽお | 09. 03. 06 AM 11:13