あれから 9年
あれは 9年前の夏
ワイマールへ向かう 列車の中で
先生は こんな話をしてくれた
「受け入れる愛と 拒む勇気と それを判断する英知を お与え下さい」
抗癌剤治療の中
ドイツはミュールハウゼンで
リサイタルを終えた先生
旅の途中 いつも毅然とされていて
いつもの如く 厳しくて
そして 音楽に真摯にぶつかっていった夜
4人で ささやかな打ち上げをした
先生は その時 初めて 泣かれた
激しく 泣かれた
僕は 常温の黒ビールを
ただ 黙って飲み続けていた
あれから 9年が過ぎた
僕は いつか
あの時の 先生の涙の意味を 心を
解る時が 来るのだろうか
僕には 愛も 勇気も 英知も 無い
あの時と同じように
ただ 黙って 音楽の現場へ向かっている
あの時と同じように
素晴らしい音楽へ 貢献できることを願って
先生 頑張ります!


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