冬が来る前に
工場の一画 ICチップを製造するライン
ガチャンコ ガチャンコ 毎分 幾つものICチップが生産されていく
その中のヒトツが いや一人が 隣のチップに恋をした
突然変異的に 感情を宿したチップ エンゾは
やはり 感情を宿した 隣のチップ ジョアンナに愛をささやく
ジョアンナが 応えようとした瞬間 二人は 別のラインへ流れていく
あの時 ジョアンナは 何を言おうとしたのだろう
エンゾは 携帯電話の中に組み込まれても なお
そのコトだけを 考え続ける日々
そして ある男の手に渡った携帯電話の中で
エンゾは 偶然 ジョアンナの行方を知ることになる
それは ある女の手に渡った携帯電話の中だった
冬が来る前に・・・
レオンは 月末に届いた 電話会社の明細を見て 驚愕した
いつもより ケタが ひとつ多いのである
慌てて 電話会社に電話をしてみるものの けんもホロロ
どうやら 毎晩 数時間 自分の携帯が 使用されているのだ
それも 毎回 同じ電話番号へ・・・
レオンは 翌朝 携帯の発信履歴を見て ある決意をする
もしかしたら オレは 夢遊病なのかも知れない
しかし 電話代が発生しているということは 相手も通話しているということだ
そして 思いきって その番号に 電話をかけてみた
「はい マチルダですが」
『あ あのー 昨夜 私はあなたに 電話をかけたようなのですが・・・』
「は? なにかの間違いじゃないんですか?」 ガチャン
冬が来る前に・・・
一年後 緑の風に包まれた教会で
マチルダは 真っ白なドレスを着て 父親の腕から離れ
まっすぐに新郎の元へ 歩いて行った
レオンは マチルダのベールを そっと持ち上げ 口づけをした
二人は 両親と 神様と そして自分達の携帯電話へ 感謝を捧げた
携帯の誤作動が 二人の出会いのキッカケになったのである
そして その頃 ジョアンナとエンゾも 小さなカバンの中で
ひっそりと 愛を語りあっていた
もう回線を使うことなく 二人は 一緒にいることができた
「僕達が あの二人の縁になったのかな」
『いえ 違うわ あの二人の為に 神様が 私達を利用しただけよ』
「もう どちらでもいいさ こうして二人で いられるのだから」
冬が来る前に・・・
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Comments
メール、届きましたあ?
Posted by: 愛宕町私設ライブラリ | 08. 09. 04 PM 5:22
Dear 愛宕町私設ライブラリ
届いた んで 見てるよーん!
Posted by: 某閑人 | 08. 09. 05 AM 6:32
「見てる」って、テキスト・ファイルなのに・・・
Posted by: 愛宕町私設ライブラリ | 08. 09. 05 PM 6:02
メールの不思議
いまでも不思議
なんだったんでしょうか
あ、夢遊病で書いたかも?(笑)
Posted by: Chihaya | 08. 09. 05 PM 11:17
Dear 愛宕町私設ライブラリ
ん? テキストファイルなんて あった?
見てるのは ブログだよ
Dear Chihaya
え? え? え?
分からん
全く 分からん
どうしよ・・・
Posted by: 某閑人 | 08. 09. 08 AM 9:19