イベリアン・レポート
そんなワケで サッカー欧州選手権は スペインが優勝した!
ポルトガルと共に 密かに 応援していたので
まあ シグロか トーレスあたりで 乾杯! な気分である!
ここ最近 イベリア半島に 関心が傾いている
ヨーロッパへの好奇心は 20代で消滅していたのだけれど
年をとってから 興味の出るものというのは かなりハマるようだ
30代後半は 朝鮮半島に 入り浸ってしまっていたが
40代後半は どうやら イベリア半島を しっかり見つめてみたい
そんな中 あるレポートを 読む機会に恵まれた
昨年11月号の 「アーリーミュージック誌」に掲載された
イベリア半島における スカルラッティと チェンバロ製作に関する記事を
見坊澄女史が 翻訳したものだ
これが 凄い
文献案内まで含めて 原書では29ページものレポートなので
まだ 詳細を消化しきれていないのだが
スペイン・ポルトガルにおける 演奏と製作に関して 綿密な内容である
スペインのチェンバロは 漠然と
イタリアン系のみと決め付けていたが さにあらず
へぇー ふぅーん という感嘆を 連続してもらしてしまう
なおかつ そうした歴史背景を元に
スカルラッティの曲を どのような楽器で 最適に再現できるか
そのモチーフを 重心に置いている
なので 楽器関係の人も 演奏家も 等しく
新たな研究の糧として 大いに 滋養に富んでいるといえる
こうした膨大な翻訳を 慣れない専門用語と格闘しながら
翻訳して下さった労に 本当に 頭が下がるし 感謝である
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歴史的楽器の復元を 自分でやるつもりは サラサラ無いのだが
このレポートを ひとつのキッカケにして
イベリアの匂いがする楽器を いつか 作ってみたいと思っている
杣が 響板に使用している レッド・シーダーは
フラメンコのギターの響板には 普通に使用されているし
方向性としては ナンの無理もなく ベクトルを重ねられそうな気がしている
イベリアも 朝鮮も 前世紀には 内戦を経験している
そして その爪あとは 今でも 残っている
情熱の光と影 そして テグキの陰と陽
両半島の 近代史の背景には 当然
それまでの歴史が 深く影響してきている
イスラムに翻弄され 日本に陵辱され
侵略の歴史の中で それでも 独自の尊厳を死守せんと戦う民族
そして イデオロギーによって 同じ民族の血が 大量に浸み込んだ半島
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欧州選手権で スペインが優勝したのは
1964年以来 実に44年ぶりのことだという
当時 スペインは フランコ独裁体制の統治下だった
ファドや フラメンコの響きが放つ 陰影は
もしかしたら すでに スカルラッティの中にも あったのかも知れない
そんなワケで しばらく このイベリアン・レポートを 熟読してみよう