ポリエステル
杣の世代は 中学生といえば 学ランで
修学旅行なぞ行けば 坊主頭の軍服もどきの学ランが ウジャウジャ
外人から見れば さぞかし 軍国主義に見えたことだろう
で 6月になると 衣替えと称して
真っ黒だった通学路は 白くなる
そう 開襟シャツなるものを 着ていた
あの 開襟シャツは 当時は嫌いだったが
年をとると なかなか どうして 魅力的である
なんといっても ネクタイしなくていいし クールビズである
それに 昭和中期の私服刑事は きっと こんな格好をしていたハズだ
今年のファッションのテーマは 「悪徳刑事」なので バッチリである!
夏になって 老人が キチッと開襟シャツを着て
炎天下の中 歩いている姿を見ると
なんだか こちらまで シャキっとした気分になる
ところがだ 最近 身近な店に 開襟シャツは 売っていない
シャキっとした老人を とっ捕まえて 「どこで買ったのですか?」
などと聞く度胸が無い工作員は ネットで調べて 買いに行った
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上野は アメ横 その名も 「上野屋シャツ店」
ここは 実にマバユいシャツや ジャケットが
トコロ狭しと陳列されており うっかりすると
ラメ入りのジャケットを 購入してしまいそうな誘惑にかられる
店主が言うには 「マジシャンやら 芸能人が買いに来る」らしい
確かに ドハデで カラフルなラインナップは
サラリーマンや 技術屋には 3万光年くらい遠い世界に見える
で 解禁シャツを 買った
比較的 地味な 白い解禁シャツである
アイロンや 洗濯時の注意点を 質問する
「なんていってもポリエステルですから シワにならにし 着心地いいですよ」
ハテ ポリエステルが 着心地がいいとは 初耳であった
杣のような 昭和な人間にとって ポリエステルは
綿の代用品で 廉価でチープで 着心地悪し というイメージがある
なおかつ ピアノ屋にとって ポリエステルと聞くと
塗装の種類を 瞬時に思い出し
一生懸命 バフ掛けして ピカピカに磨いた記憶ばかりが 彷彿とする
・・・・・・・・・・・・・・
ピアノは 量産されてから
カシュー ラッカー ポリエステル ポリウレタン
などの塗料が使用され その塗料で 時代まで分かってしまう
黒いピアノに キズをつけて キズの色が
茶色だとカシュー 黒ければラッカー
白ければポリ というふうに 大雑把に分類できるものでもある
ポリも エステルは硬いので 時間が経つと
木材の伸縮に対応できず ヒビが入ることもあり
ウレタンは柔軟性があり 今は最もポピュラーだと聞く
で ポリエステルの 開襟シャツである
店主は ポリエステルこそ 最高の素材のように説明を続ける
最高でも 最低でも 悪徳刑事ルックのために とりあえず購入した
帰宅しても なんとなく 素材のコトが 気になってしょうがない
なもんで 普段 愛用している ビーチクがクッキリ浮かび上がる
ピチピチシャツの 素材を あらためて調べてみた
すると どうしたことだろう
ナイキも ミズノも アンダーアーマーも
みな ポリエステルが8割以上 ポリウレタンが2割という 素材だったのだ!
そっか ピアノと同じだったんだ・・・
なんだか ちょっと 嬉しくなった イヒヒ
ポリエステルを 強引に略すると ポリスになるし イヒヒ
なもんで 6月は衣替えさ
さぁ みんなで 着心地のいいポリを着て 悪徳刑事になろう!
ああ そうだ 鋭い目つきの練習もしなきゃ・・・