ある雨の日に
昨日の 雨のミッションでの 話である
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朝 雨は止まない
どころか ますます 激しくなっている
仕方なく 後輩へ電話する
「仕事の前に ブルーシートを買いに行くから 集合時間を早めに変更する」
『え? 先輩 ついに路上生活者になるんですか? それは英断ですね!』
こいつの勘違いは コンビニのように 年中無休で 早朝から深夜にまで及ぶ
100円ショップに入り とりあえず レインコートを購入する
だいたい 普段 サイババも驚くくらいの 奇跡的な晴男だけに
雨の中 楽器を運ぶことなんて 想定したことも無かった
楽器用のレインコートも 急遽 製作しなければならない
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楽器のあるスタジオへ向かう 車内
後輩は 後部座席で なにやら モゾモゾと せわしく蠢いている
どうやら 新品の 真っ白なレインコートを 着ているようだ
『なんだか 鳥インフルエンザの 消毒をする人みたいなんですけど・・・
このレインコート 可愛くないなー』
こいつが着るかぎり 例え水玉でも 玉虫色でも 可愛くはならない
ふと ルームミラーを見ると
そこには レインコートの帽子をかぶった 後輩が写っていた
・・・可愛くないどころではない 甚だ すこぶる 怪しい・・・ 怪しすぎる!
昭和23年の1月 このイデタチで 椎名町を歩いていたら
平沢容疑者の代わりに こいつが逮捕されたことは 間違いなかったろう
GHQだって 絶対に見逃さない怪しさである
現場に到着し 杣も レインコートを着て 車外へ出る
鏡に写ったテメーの姿を見て 今日 2度目の驚愕に頭痛がする
怪しさの原因は どうやら 後輩のツラではなく このレインコートにあるようだ・・・
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スタジオで 楽器を梱包し 雨用のカバーを取り付ける
ビニールシートと ガムテープを駆使して 防水チェンバロ完成
テメーのレインコート姿より はるかにカッチョ良く かすかに嫉妬する
楽器を車に積み込み 後は 押し込む という瞬間
猛烈な突風が舞い込み 楽器の雨カバーが 見事に剥がれ
鍵盤側を持っていた杣を すっぽりと覆い隠してしまった
真っ白な視界の中で
どこかで 高らかに笑い声が聞こえる
どうやら 後輩が 4フィート2列で 激しく笑っているようだ
『このカバーの寿命 案外 短かったですね アッハッハッハ!』
こいつは 一人でも 十分 姦しい
そんなワケで 無事に楽器だけは濡らさずに 積み込めた
しかし 杣の心は 涙でずぶ濡れである
こいつの前で 心のレインコートを着ることは できないようだ
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明治寺には 早目に到着できたので
車を置いて 先に昼食をとることにする
すると 後輩は レインコートを脱ごうとしているではないか
「待て よく考えろ 昼食後 また レインコートを着るのだぞ
一度 濡れたレインコートをぬいで 再び着るということは
かのアインシュタインの公式でも 解無しと言われているではないか!」
『そう言われれば そうですね・・・ でも 可愛くないんですよ コレ』
こいつは アインシュタインとか 外人の名前を出すと
理屈はどうであれ 簡単に屈服する・・・ ちょろい
そんなワケで 白装束な二人は 沼袋商店街を徘徊することになった
歩きながら 店のガラスに写った テメーの姿は
麻原の一団より 強烈で 通報されるのは時間の問題である
やはり アインシュタインの公式なぞ持ち出さずに
自分だけでも レインコートを脱いで来るべきだったと 激しく後悔しきりであるが
後輩は 何故か すでに慣れてしまったらしく ノラネコを追い回している・・・
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台湾料理屋に入った
周囲の 冷たさと 驚愕と 恐怖の入り混じった視線を感じながら
杣は ペコペコ ヘラヘラ 「どうも どうも」などと ごちる
ランチメニューを見ながら 後輩は 嬉々としている
こいつは 食べる度に 人生の至福を味わえる人種である
つまり 日に3度 年中無休で 年間 千回以上も 人生の至福を味わっている
『私は これにします ラーメンライス』
「これは ラーメンセットで ライスでなく チャーハンがつくようだが・・・」
こいつは 至福の手前では 脳みそが停止するらしい ・・・年間 千回以上も
そして 本日 最大の不幸は 突然やってきた
「晴天の霹靂」 という言葉があるが
この日に限っては 「雨天のヘベレケ」である
ウエイトレスの ねーちゃんが 可愛かったのである!
ちょっと ボーイッシュで ムチャクチャ タイプである!
冬ソナ以上の 運命の出会いとなるハズだったのである!
これが 日常の工作員らしい服装であれば
悩殺のホホエミで ネーチャンの電話番号を 聞き出すことは容易なのだが
なんといっても 鳥インフルエンザの消毒員+ヘラヘラ×2 である・・・
【本日の教訓】
我が国には 古来より 素敵な言葉がある
「晴耕雨読」
雨の日には レインコートを着てまで 仕事をするものではない
先人達の戒めに 抗ったばかりに
運命の出会いを ふいにしてしまった
髪を切って 別人になったら
悩殺のホホエミを携えて
あの 台湾料理屋へ赴くとしよう ・・・ある晴れた日に
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Comments
で、その怪しい白装束の二人組の写真は?見たかったなぁ…。
Posted by: いちごっこ携帯から | 08. 04. 10 PM 9:35
Dear いちごっこ
それが 写真 撮れなかったんですよ
なんつっても 雨がひどかったもので・・・
でも もしかしたら 沼袋商店街に貼ってあるかも!
「この顔に ピンときたら 110!」って・・・
Posted by: 某閑人 | 08. 04. 11 AM 9:52