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07. 11. 08

耳をすませば

友人の宗教学者 トニーによると
世界中で 最も カネに貪欲な宗教は
仏教だと ノタマワる


その理由を聞くと
坊さんは お布施の勘定を お経を唱えながら
口ずさんでいると言う


「何枚だー 何枚だー」


これに対し 井戸の中の お岩さんは
「イチマーイ ニーマーイ」と せこい枚数を提示するもんだから
これじゃ いつになっても 成仏できないワケだ


でも 崎陽軒なら 数え方まで異なっているようだ
「シュー枚 シュー枚」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昔 ある法事に行った
そこには 調律界の大先輩が ウヨウヨしており
それでも皆 神妙な面持ちで 正座をして お経に耳を傾けていた


しかし お経の中で鳴らされる あの「チーン」という音


調律師なら やはり その音に 耳が惹きつけられてしまう
その 長い余韻の中で 杣は ハタと気になることがあった
その音は 唸っているのである


ゆっくりと 「ウワーン ウワーン」と 音が唸っている


倍音の定理でいくと この唸りは 部分音に比例していくハズである
なもんで その音「ウワーン ウワーン」を 基音と定め
1オクターブ高い音を 探した


あった


その 第2倍音に位置する音は
「ワーン ワーン」と 倍の早さで唸っており
倍音の定理が 真理であることを 正座したまま実感できた


そうなると 第3倍音が 気になる
これは 第2倍音より 五度高い音程なハズである


あった


基音に比べると その唸りは 3倍になっており
「ワンワンワンワン」と 確かに早くなっている
倍音の定理が 真理であることを 線香の匂いに包まれながら実感できた


当然ながら こうなってくると 第4倍音が気になる
これは 第3倍音より 4度高い音であるが
だんだん 判別し 認識するのが 困難な音高になってくる


しかし みつけた!


「ワワワワワワワワ」 おー 確かに4倍の速さで唸っている!
自分の耳が 天才かと思って 悦に入り 第5倍音に 挑んだころ
お経は終了し 足のシビレは 限界に達していた


ヨタヨタと 別室に移動し 豪華な弁当をつついている時
杣は 自慢のつもりで しかし謙虚を装い 語った
「あのチーンって音 唸ってましたが 第4倍音まで 聞き取れました」


すると 周りにいた ベテランの調律師達は ニヤリとして言いやがった
「オレもそれは気になった 第5倍音まで 聞き取れたぜ」
『君は そんなもんかね ワシなんて 第6倍音まで キレイに聴こえた』


マジかよ! と疑ったが
それ以上に 法事の席で そんなモンばかり しっかり聞こうとしている
この職業の性を あらためて 虚しく感じたものだ
 

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Comments

う~ン
すごい!
自分こそは天職なりと自負していたのに
そんなこと気にも留めなかったのにはトホホ
自分で発見したかった・・・

Posted by: 440 | 07. 11. 09 at 오전 8:41

友人のトロンボーン吹きは、極度に耳の良い女性講師に
「う~ん、きょうは第7倍音が出てないわねえ」
などと突っ込まれながら、いつも練習させられていたそうな。

Posted by: 愛宕町私設ライブラリ | 07. 11. 09 at 오후 12:31

うわっ!
そんなこと・・・
せめて本職(調律師)、ピアノくらいは聴けるようになろっ・・・・・

Posted by: 440 | 07. 11. 09 at 오후 10:47

To 440
天職だから どーでもいいこと 気にならヘンのとちゃう?
自分は 天職じゃないから 転職せな アカンかも・・・


To 愛宕町私設ライブラリ
倍音吹き分ける楽器のことは よーわからんが
基音から数えると 第7倍音は 短7度だから
目立たない方が 濁らない気がするんだが・・・
ピアノの打弦点が 1/7とかいうのも
不協音分子の第7倍音を 目立たせない工夫らしいぜ

Posted by: 某閑人 | 07. 11. 10 at 오전 11:37

> 目立たない方が 濁らない気がするんだが・・・

第7倍音はいわゆるブルーノートだから
いつもブルーズを感じながら吹けっ、ていうご託宣なのだろうと
私は勝手に解釈しています。

ところで某閑人さん、ポルタティフ・オルガンの調律って
やったこと、ある?

Posted by: 愛宕町私設ライブラリ | 07. 11. 12 at 오후 12:46

To 愛宕町私設ライブラリ
ポジティフも やりますよ
楽器を持ってないから
ほとんど 機会は無いのですが・・・

Posted by: 某閑人 | 07. 11. 13 at 오전 11:21

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