狂おしく美しく ②
調律師の 研修会で こんな場面を経験したことがある
2台のピアノが 準備されており
1台は 地元の有志が 前日から調律してあり
もう1台は その日の講師が 本番前に 慌しく 調律させられる
同業者に さらされながら 調律をするというのは
別に ナニが違う訳でもなく ナニか特別なことをするのでも無いけれど
いつもと違う 不思議な緊張感に包まれる
その講師も 汗をかきかき 短い時間の中で
ざざーっと 調律を終わらせ コンサートが始まった
ピアニスト というよりは フォルティストと呼びたくなる 演奏者は
ちょっと 下品なタッチで 自分の音楽をピアノに要求している
ピアノの音を出すのでなく 自分の音を 無理やり 叩き出そうと奮闘する
しばらくすると 可哀想な 2台のピアノは
調律が ヘロヘロとしてきて やがて ウワンウワンになる
そして その時 二人の調律師の違いが 如実に現れた
地元の有志が 調律したピアノは ただ 狂っていき
講師の調律したピアノは 狂ってなお 美しいのである
もっと 正確に表現するなら 調律したての時より
美しく感じてしまう 響きに 変化していて
これが 実に音楽的で 目から でなく 耳からウロコが ポロリ
(続く)
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Comments
夢のインペリアルを我が家に迎えてからというもの(このチッチャイ家によく押し込んだもんだ)、毎日毎日、音が違うことにびっくり。それまでは、ディアパソンの171だったからというわけでもないけれど、一つ一つの音をよく聞いてなかったんだなあ・・・と、今頃になって反省。
調律師さんの話は、とっても興味深く面白く聞く今日この頃です。
Posted by: ichigokko | 07. 09. 04 AM 2:40
To ichigokko
インペの下で眠るのって 自分も学生時代の夢でした
ぶっ壊れてたインペを買って
棺おけにしたいなー とかも思ってましたが
死んでなお 親族にヒンシュクを買うのも なんだかな・・・
というより 毎日 ベーゼンが弾けるって
うらやましいな!
ニャンコ達の情操教育のためにも
たくさん弾いて弾いて 弾きまくってくださいね!
Posted by: 某閑人 | 07. 09. 06 AM 6:14