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06. 11. 04

失楽園 ②

杣は らくえんで 「キヤマさん」と 呼ばれていた
キープされるボトルに 初めて 「木山」 と書いて以来
らくえんファミリーが 勘違いして そう呼び始めたのだ


杣は らくえんで いつも カウンターの隅に座り
レバ刺し 月見 ナンコツ焼き をオーダーし
ジンロを グラスに ナミナミとついで 小説を読んでいた


いったい らくえんで 何百冊の本を 読んできただろう


周りの客からは 露骨に 「居酒屋で読書って クライ奴だねー」と 嫌味も言われたが
その都度 ゆっくりと顔を上げ 『チェーソンハムニダ ニホンゴ ムツカシイネ』と
カタコトの日本語と 韓国語で応え ニヤリとしてみせた


「なんだ 韓国人か」と 孤独な客への好奇心を 一瞬は失うのだが
杣の読んでいる本が 日本語であるのに気づき
いっそう 怪訝そうな 懐疑的な視線を向けてくる・・・


そんな 杣の無言のバリアにも 負けずに話しかけてくる 常連もいる
仕事や 年齢を ネホリハホリ詮索され 
杣は 煩わしそうに 鷹揚に返答するのだが すぐに読書に戻る


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


らくえんは 週末をのぞくと 
いつも閑散としており
カウンターに 知った顔が チラホラという程度だった


「いいねー キヤマさんトコは 特殊職業だから もうかってしょうがないでしょ?」
マスターは 唐突に そんな話題を ふってきやがって
杣本人も 周りの 不景気そうな常連も 驚いていた


「キヤマさんとこはね 月収が150万もあるんだよ!ねっ そうでしょ?」
周りの ねたみのこもった視線に 耐えられなくなり
『150万ですが 円ではなくって ウォンなので・・・』


しかし そんな冗談が通じる 相手ではない
シカトして シカトして 時々 マスターの愚痴の相手になって
なんで 金払って 人の愚痴 聞かなきゃいけないんだ? と思うことも しばしばだった


(つづく)

 

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Comments

キヤマ、お前おもろいな。
居酒屋で読書って、目悪くしそうだ。

確かにキヤマの仕事は特殊職業・・・
ってかヤクザな商売だよな。

・・・と人に言うと「テキヤとか?」っていわれるが
それは『ヤクザの商売』だよな~。アホらが!

Posted by: K | 06. 11. 04 at 오후 10:15

連載①から察すると、とても居心地のよい印象だったのだが…。
どうもあまり居心地がよさそうでなく…、でも気に入っていて、なくなって残念なのだから…
これからまだ、展開がありそうですね。
たのしみ~。

Posted by: chikako | 06. 11. 04 at 오후 10:34

To K
視力は 今だに アフリカ人なみなので
老眼予防のためにも
少し 近眼にしなければ いけないんですわ・・・
メガネ屋で 視力検査をすると
1.5以上 測定してもらえなくって・・・
老眼になったら 仕事できねーだろーなー


To chikako
今回は オチも ナニも 無いんですわ
ただ らくえん が なくなって残念で 残念で・・・
良さと 悪さと 両方を 味わって 
本当の魅力になるんでしょうな・・・

Posted by: 某閑人 | 06. 11. 06 at 오전 11:05

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