金色の音叉
秘密工作員の 杣は
調律屋を 装っているために
小物への配慮も 忘れない
キーホルダーには 音叉なんかを
使っちゃたり なんかしちゃったり している・・・
ウフフ
これは 便利である
いつ いかなる時でも
ラの音だけは 確認できるのだ!
どうだ! 調律屋っぽいだろう!
わっはっはっは!
まぁ でも 実は
これは ベーゼンドルファー と刻印されているとおり
ラの音は ウィーンピッチの 443ヘルツなんだけどね・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正直に言おう
調律学校の頃
ベーゼンドルファーのショールームに 見学に行き
ベーゼンの名が刻まれた 音叉を見て 杣青年は狂喜乱舞した
当時は ベーゼンが好きで
なけなしの小遣いを 使い果たし
この音叉を ゲットしたものだ・・・
買った当初 この音叉は 金色だった!
おー 金色の音叉だ!
それも ベーゼンの名前入り!
当時の 杣青年が 宝物リストの No1にするのも 分かるだろう
で この 金色
ちょっと くすんでるから もっと ピカピカにしよう!
と ピカールという 研磨剤で ゴシゴシ 磨きだした・・・
・・・ところが
磨いたトコだけ だんだんと 銀色になっていくではないか・・・
そう この音叉 素材は 普通のステンレスで
あろうことか そこに 金色のラッカーで
着色していただけなのであった・・・
ガガーリンも びっくり!
・・・というより ショックだった
で マダラに金色というのも カッコ悪いので
結局 全部 ラッカーをはがし (メッキでもないんですぜ!)
今の シルバーな音叉に 脱皮させてあげた訳です・・・
ちょっと 想像して欲しい
自慢したがり屋の 杣青年は
この 金ピカの音叉を 調律学校の同級生に見せ
「へへ オレ様は ベーゼンの金の音叉なんだぜ」と
ミンナに嫌われながらも 一人 悦に入る予定だったのに・・・
さらに!
この音叉は 減衰時間が 極端に短い!
いわゆる 「鳴らない音叉」だったのです!
音叉にも いろいろありまして
すぐに 音が消えてしまうヤツは
調律屋の卵としては 使いにくかったのですね・・・
というわけで
自慢どころでなく
使いモノにもならず・・・
キーホルダーに なってしまった訳です
唯一の利点は
この キーホルダーを 落とした時
素晴らしい音がするので すぐに 気づくコトくらいですかね・・・