ミッションC:+と-のバランス
新宿 オペラシティ リサイタルホール
ピアノと リードオルガンによる ソプラノのリサイタル
後半のプログラムは リードオルガンで伴奏
100年程前の カナダのオルガン
オルガンの とてもセンスの良いストップで リハが始まった
しかし 歌が強すぎて アンバランス
その指摘を受けて オルガン奏者は オルガンのストップを増やし 音量増大
しかし 杣にとって この選択は 美しいと思えなかった
両者の ボリュームバランスは とれたのだが
全体にボアボアとするだけで 繊細な歌詞の意味が 埋没していく
初めて会う演奏者達だったので 勇気は必要だったが
率直なアドバイスを 伝えてみた
歌を オルガンの美しいストップの音量に 合わせたほうが良い と・・・
西洋のバランスのイメージは 弱いほうを強くしようとする
日本は 弱いほうに合わせて 強すぎるものを押さえる
甘すぎる洋菓子に苦いコーヒーでなく ダシの風味に僅かな塩 のような・・・
すると 歌の伝える表現力が 大きくなった
大きな音量の受動的な鑑賞でなく
ささやきに対する 能動的な鑑賞で より聴衆は音楽に入っていく・・・
演奏者は 実に細やかで 繊細な表現を 試みている
時によって それは よりピアニッシモで演奏するほうが
鮮明に 聴衆の耳と心に 届くことがある
我々の会話でも 大切な言葉 心を込めた温かい言葉は
大声でなく ささやくような 声量だったりする
「愛してるよ」 「大丈夫だよ」 「ごめんね」 「・・・金 貸して」